毎日の生活に寄り添いながら、人々の生活をちょっと素敵に豊かにする「生茶」。新しくなったそのボトルデザインからインスピレーションを受け、イラストレーター・黒木仁史が日々に彩りを添えるオリジナルイラストを公開。制作の背景と“アートのある暮らし”について語った。
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空を見上げてお茶を飲むことで、頭がクリアになる

黒木が今回描いたのは「都会の中の公園」だ。「九州から東京に上京して8年経ちますが、東京には大きな公園が多いと感じています。緑の奥にビルが立ち並んでいて、その向こうに青空が広がっている。公園のベンチには人々が思い思いに寛いでいて、その様子をキャンバスに描いている男性のかたわらに「生茶」(※)のボトルがある。そんなチルな空間を思い浮かべてイラストを描きました。新しくなったパッケージはお洒落なデザインで、寛ぎの空間にぴったりハマると思います」
※まる搾り生茶葉抽出物 加熱処理

普段イラストを描いている時間を思い浮かべながら作品に落とし込んでいったという黒木。「ずっと描き続けていると没頭し過ぎて客観的に絵を見ることができなくなってしまうので、頭をクリアにする瞬間が必要なんです。空を見上げながらお茶を飲むことで、脳がリセットされる。一連の作業を止めることなくちょっと一息つく、という感覚ですね。お茶は日本人が慣れ親しんできた飲み物なので、ほっとできるイメージもある。絵を描く合間に気持ちを落ち着かせ、また作業に戻るためにはペットボトルのお茶は最適な飲み物ではないでしょうか」

都会の公園の奥に広がる青空の色は「ちょっと気分が上がる」ことを意識した。「これから春に向けての季節を想像しながら、少しビビッドな青を選びました。新緑とのコントラストをイメージして、ちょっと普段とは違う空の色になったと思います」
日常をよくするために、黒木が定期的に行っているのが散歩だ。「東京の街は歩けば歩くほど発見があって魅力が尽きないですね。どんな駅にも地方の繁華街のように生活感の漂っている場所があって、そこをあてもなく散歩するのが好きです」。週末には半日かけて歩き回ることもよくあるという。「展覧会に出かけたらその周辺をウロウロ、お目当てのラーメン屋で昼食を食べた後はまたあてどなく歩き回る、といったように知らない街を散策しています」
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楽しく描くことを大切に、見る人を心地よく

目的を決めずに歩き回ることで、まとまらなかった考えが整理されることもある。「物思いに耽ることができるのが散歩の魅力。仕事ばかりしていると煮詰まることもありますが、散歩することで無意識に考え方が整理されていくような気がします。そして知らない街を回遊していると突然、緑豊かな公園が現れる。新しい店やモノで情報があふれている東京にあって、公園は頭を空っぽにしてくれる余白のような場所だと感じます。『生茶』の新しいラベルも余白を活かしたデザインで、都心の公園とは親和性を感じます」
締め切りに追われている時ほど、楽しんで仕事をすることを心がけていると黒木。「イラストレーターはアーティストと違って、依頼主との関係性で成り立つもの。そして多くの場合、作品が世の中に出ることを前提としています。だから見てくれた人が楽しんで興味を持ってくれたら本望です」。幼い頃から絵を描くのが好きだった黒木は、プロのイラストレーターになっても楽しく描くことを大切にしている。楽しみながら描いた絵は、それを見た人を心地よくする。こうして生まれたアートは、見慣れた景色も鮮やかに塗り替えてくれるだろう。
