1997年、モレスキン(MOLESKINE)は、19世紀パリの文具店で売られていた伝説の黒いノートブックから着想を得て、ミラノで誕生した。ピカソやヘミングウェイ、ゴッホらが愛用したとされるこのノートブック。黒い表紙と象牙色の紙面、独特のゴムバンドは、創造性の象徴として世界中のクリエイターを魅了している。

そんなモレスキンは近年、ブランドの本質を伝える新たな試みを展開している。2024年の「Pen & Paper」キャンペーンでは、13のビジュアルでペンと紙が知的能力に与えるメリットを紹介。科学者の協力のもと、手書きの効果を科学的根拠に基づいて伝える内容が注目を集めた。そして迎えた2025年、「Unleash Your Genius」キャンペーンでは、手書きが脳の14以上の領域を活性化させる点を強調。学習効率の向上やアイデア創出促進、不安の軽減などの効果を科学的に示しながら、「誰もが持つ天才的な才能」を解き放つブランドミッションを鮮明に打ち出している。
この新たなブランドビジョンを率いるのが、3月に就任したCEO、クリストフ・アーシャンボウだ。フランス出身の彼は、1989年から22年間P&Gで世界各地の実績を積み、その後ディーゼルのアジア地域プレジデント、ベトナムの「Hoang Phuc International」CEO、香港「Pryde Group」CEOを歴任。2020年にモレスキンCCOとして入社し、その2年後にはアジア太平洋地域ディレクターも兼任することとなった。卓越したブランド戦略でグローバル展開を成功に導き、CEOへと昇進した敏腕経営者だ。
「Unleash Your Genius」キャンペーンは日本でも展開される。その具体的な取り組みとして、大阪芸術大学とのパートナーシップが2025年度前期に始動。このキャンペーンをテーマにした授業では、学生たちがモレスキン製品で才能を解き放ち、創作した作品が各所で展示される予定だ。
デジタル全盛の時代に、あえてアナログの可能性を探求するモレスキン。その試みは、眠れる創造性を呼び覚まし、思考のプロセスを見つめ直す機会を私たちに与えてくれるのではないか。


