太平洋に「ブラックホール」!? Google マップの衛星が捉えた謎の三角形の正体

  • 文:宮田華子
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X:@Chaos_Insider

ネットユーザーの間で、Google Mapに映し出されたある奇妙な光景が話題だ。

太平洋の真ん中に現れた漆黒の三角形が「ブラックホールなのでは?」と注目を集めたのだ。この「謎の三角形」はまるで宇宙へと続く穴のようにも見え、「エイリアンの拠点なのでは?」「地球の中心へ続く穴ではないか?」等、さまざまな憶測が飛び交った。

また一部の人たちは「この場所だけが意図的に塗りつぶされているのでは?」と疑い、政府の機密施設が隠されている可能性を指摘した。

しかし、真相は意外なものだった。

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驚くべき真実「ヴォストック島」

この「ブラックホール」の正体は、キリバス共和国に属する無人島「ヴォストック島」だ。オーストラリアから約6000km東に位置し、面積はわずか0.24㎡の小さな環礁である。

 

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ヴォストック島は、1820年にロシア人探検家のファビアン・ゴットリープ・フォン・ベリングスハウゼンによって発見された。X:@McKenzie15h3re

この島を覆っているのは「ピソニア」という木だ。ピソニアの木は極度に密集して成長し、濃い緑色の葉が光を遮る。そのため、上空から見るとまるで真っ黒な影のように映る。これが、上空からの衛星画像がまるでブラックホールのように見えた原因であった。

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島は、びっしりと生えたピソニアの木で覆われている。X:@LavKaufman

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「鳥殺し」の木、ピソニアとは?

ピソニアは「鳥殺しの木」として知られる。ピソニアの種子は非常に粘着性が高く、鳥の羽毛や足に絡みつく。このため、飛び立てなくなった鳥はやがて餓死し、森の中でそのまま朽ち果ててしまう。

ピソニアの種子(左)と、種子が体に付着した鳥(右)。種子の粘着性の高さがうかがえる。

科学者によると、この現象は進化の過程で生じたものであり、ピソニアは鳥が種子を運ぶことで繁殖してきた。しかし、その粘着性があまりに強いため、逆に鳥が死亡し、種子が拡散されないケースも多いという。この特性がヴォストック島を「死の森」とも呼ばせる要因となっている。

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他にもある! Google マップが映し出す不思議な風景

今回の「ブラックホール」疑惑はヴォストック島であると判明したが、Google マップが捉えた奇妙な風景が話題になることは珍しくない。これまでも「カザフスタンに出現したスワスティカ型の地上絵」「南極の雪の中に現れた巨大なドア」等、ネット上で議論を巻き起こした写真は数多く存在する。

NASAも注目したカザフスタンの地上絵。残念ながら発見後、道路建設により一部は破壊されてしまった。

「南極の雪の中に出現したドア」については、Pen Onlineでも紹介した。

今回の「ブラックホール」のように、謎があっけなく解明する場合もあるが、謎が謎を呼ぶものもある。今後も、Google マップが捉えた不思議な場所が新たな驚きをもたらし、その度に話題となるだろう。

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【次ページ:動画あり】太平洋の真ん中に現れた「ブラックホール」の真実

今回の「謎」を分かりやすく解説した動画。Youtubeの自動字幕作成機能を使用すると、日本語字幕で視聴できる。