
今や世界的な美容整形ブームであるが、とりわけ男性に人気なのが植毛だ。薄毛の気になる部分に自分の頭皮組織や人工毛を移植する施術で、価格の安いトルコなどでの治療ツアーが欧米でも大きな関心を集めている。だが、どんな治療にも失敗はつきものだ。イギリスでは、頭皮移植に失敗したとある男性が話題になっている。
夢の植毛手術、しかし…
英グラスゴーに住むマーク・スウィーニーさん(57歳)は、生え際の後退が気になるようになり、植毛手術を受けることにした。しかし、価格の安い海外での移植手術はリスクが高いことを知り、イギリス国内の専門クリニックでの治療を選択した。
マークさんは側頭部から頭皮の組織を採取し、額の生え際に移植する治療を受けた。かかった費用は3500ポンド(約67万円)で、レストランでウェイターとして働く彼にとって決して安い金額ではなかったが、気になっていた部分の髪が増えると思えば高い買い物ではなかった。
だが、彼の希望は打ち砕かれた。
手術後、移植部分から髪が生えるどころか、生え際を横切るように赤いアザのような跡が残ってしまったのだ。手術直後のマークさんの写真を見ると、側頭部はガーゼで覆われ、植毛した前頭部は腫れているのがわかる。赤いアザは植毛した部分と明らかに一致している。また、組織を摘出した側頭部も、一部髪が生えてこなくなってしまった。
「彼らが髪を取った場所は禿げて、前頭部には傷跡があります。しかも生え際が片方だけ低くなってしまいました」と、マークさんは英デイリーレコード紙に語っている。手術後、マークさんは頭を気にするあまり人前に出られなくなってしまい、ウェイターの仕事も辞めてしまったという。うつ病の治療も受けたといい、「彼らは私の人生を台無しにしました」とマークさんは話す。
イギリスで治療を受けたのに
リスク軽減のためにイギリスでの治療を望んだマークさんであるが、実はそのクリニックでも怪しいと思う場面があったという。「移植を受けた時、パキスタン出身らしき医療技術者とルーマニア出身の助手が手術を行いました。二人とも英語をうまく話せませんでした」とマークさんは証言しており、イギリス国内のクリニックで治療を受けても、海外のクリニックと同じような失敗のリスクがあると訴えている。
マークさんを診察した別の医師によれば、側頭部の同じ場所から皮膚組織を取り過ぎており、移植片も深く入れ過ぎていたという。現在マークさんは、アメリカのクリニックで再度治療を受けるため、節約と貯金に励んでいるそうだ。
植毛手術の失敗は多いようで、SNS上にはそのリカバリーにまつわる投稿も多い。少し検索しただけでも、毛が生えてこなかったり、生えてきても仕上がりが不自然だったり、後頭部などに傷跡が残ったりした人たちの治療例を見ることができる。
美容医療に限った話ではないが、腕の良いクリニックを探すことは難しい。まして、SNSを使ったマーケティングが盛んな昨今ではなおさらだろう。マークさんが次回、満足のいく治療を受けられることを願うばかりだ。
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マークさんの手術後の頭
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後頭部にみみず腫れが残ってしまった人のリカバリー
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トルコで治療を失敗して、再度治療した人
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4回も植毛に失敗した人のリカバリー