エレガントなスタイルのクーペを手掛けたらトップクラスのBMW。最新モデル「2シリーズ グランクーペ」が2025年3月に発売された。バルセロナでテストドライブの様子をレポートする。

新型「2シリーズ グランクーペ」の特徴は、車名にあるようにクーペライクで流麗なルーフラインを持ちつつ、4ドアであること。BMWが得意とするスタイルだ。
グランクーペという独自のスタイリングテーマは、2012年発表の第3世代「6シリーズ」で採用され、以来、今回の「2シリーズ」を含めて、偶数の車名が付くクーペモデル(4・6・8など)で展開されてきた。

後席は多少狭くなるものの、BMW車はスポーティでエレガントなところが魅力と考えるひとは、世界中に多く存在する。SUVブームなどと言われるなかでも、グランクーペに食指を動かしているのだ。
「2シリーズ」は、前輪駆動をベースにしたプラットフォームを「1シリーズ」と共用した“プレミアムコンパクト”。今回の第2世代は、ボディ外寸は先代とほとんど変わらず、デザインのテイストが、ヘッドランプの輪郭やバンパー一体型エアダムなど、よりシャープに感じられる。

最近のBMWのデザインは、一見シンプルだけれど実際は複雑な断面形状を持つボディ面を特徴としている。ポイントは、それによって内部から盛り上がってくるような力を抑えこんでいるように見せることで、意識しなくてもパワーを感じる意匠だ。
とりわけ最新の「X1」「X2」「X3」それに「1シリーズ」において、上記のようなより新しいデザインの傾向が見てとれる。

BMW自身は、デザイン上の見どころとして、斜めのラインが入ったキドニーグリル、アダプティブヘッドランプとリアコンビネーションランプ、それにリアのグレードバッジ、といったディテールの新しさを強調。
グレードバッジもユニークなデザインになった。たとえば「220」ならば最初の「2」だけ大きくなっている。「2」シリーズグランクーペであることを強調するためだそう。

「2シリーズ グランクーペ」が好まれるのは、ボディサイズが全長4.5m程度、全幅1.8mと、現在どんどん大型化が進む乗用車のトレンドの一方で扱いやすいサイズを維持している点だ。
ラインアップは3モデル。1.5L3気筒マイルドハイブリッドの「220 グランクーペ M スポーツ」、2L4気筒ディーゼルの「220 d グランクーペ M スポーツ」、それにスポーティな「M 235 xDrive グランクーペ」だ。
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いざ試乗へ、スポーティさが光る痛快な乗り味を楽しむ

バルセロナで乗ったのは、「220 グランクーペ M スポーツ」と「M 235 xDrive グランクーペ」。前者は1,498cc3気筒ガソリンエンジンで、最高出力115kW、最大トルク240Nm。7段デュアルクラッチ変速機を持つ前輪駆動だ。
一方、「M 235 xDrive グランクーペ」は車名に「M」が付くだけあってパワフル。1,998cc4気筒エンジンは、221kWと400Nmを発生し、ギアボックスは7段デュアルクラッチと共通だが、4輪駆動となる。さらにサスペンションやステアリング、内外装など、ぐっとスポーティな仕立てだ。

「220 グランクーペ M スポーツ」は2,000rpmを超えると、もりもりっと力を出すエンジンと、反応のよい操縦性を持っている。サスペンションの設定はしっかりめで、市街地では少し硬いかなという印象だったが、速度が上がるとしっとりした乗り心地になる。

高速では静粛性が高いのも印象的だった。長い距離も疲れなさそうで、カーブドディスプレイという大型の液晶パネルを操作して、自前のメディアやストリーミングを楽しむのもいいだろう。

「M 235 xDrive グランクーペ」は、よりスポーティなドライビングを好むひと向けのモデルだ。「サーキットで培われた技術を余すところなく取り入れた走行性能」を謳う。
変速用のパドルシフトを備えて、特に「さあいくぞ!」というときは左のパドルを1秒引くだけで最もスポーティなドライブモードが起動する「Mブースト」なる機構を備えている。

高めの速度できついカーブを曲がっていくとき、重力のせいで内側の車輪が浮きぎみなっても、外の車輪へのトルク伝達力が落ちないように前輪用のリミテッドデフを搭載される。

さらにサスペンションダンパーは走行に合わせて可変式で、ブレーキも制動力が高い。制動力の高いブレーキをオプションで選ぶこともできる。
2Lエンジンはやはり回転を上げて走るといきいきとするタイプ。よりしっかりした足まわりとステアリングのおかげで、バルセロナの旧街道から山の中を抜けていく道では、交通の流れがまばらになったときを見計らって少し飛ばすと大変痛快な気分が味わえた。

サスペンションの設定は、220グランクーペより硬めだけれど、高速では落ち着いて、長い距離を気持ちよく走っていけるGTとしてのキャラクターを堪能できた。
BMWというと後輪駆動というイメージがあるかもしれないが、前輪駆動ベースのこのモデルでも、十分に楽しめるはずだ。

価格は、「220 グランクーペ M スポーツ」が528万円、今回は乗っていない「220 d グランクーペ M スポーツ」が548万円、「M 235 xDrive グランクーペ」が734万円だ。
BMW 220 グランクーペ M スポーツ
全長×全幅×全高:4,550×1,800×1,435mm
ホイールベース:2,670mm
1498cc 3気筒マイルドハイブリッド 前輪駆動
システム最高出力:125kW
システム最大トルク:280Nm
乗車定員:5名
燃費:17.5km@l(WLTC)
価格:¥5,280,000
BMW M 235 xDrive グランクーペ
全長×全幅×全高:4,550×1,800×1,435mm
ホイールベース:2,670mm
1,998cc 4気筒 4輪駆動
最高出力:221kW
最大トルク:400Nm
乗車定員:5名
燃費:12.6km@l(WLTC)
価格:¥7,340,000
問い合わせ:BMWジャパン
www.bmw.co.jp