ファッションの世界では長らく「メンズ」と「レディース」という二項対立が存在してきた。しかし今、その境界線を溶かし、新たな着こなしの可能性を提示するコレクションが登場している。TOKYO DESIGN STUDIO New Balance（東京デザインスタジオ ニューバランス、以下TDS）が手掛ける「Uni-ssentials by TDS（ユニセンシャルズ バイ ティーディーエス）」の2025年春夏コレクションだ。

TDSは、米ボストンに拠点を置くニューバランスと日本との長年にわたる関わりから誕生したブランドだ。アメリカと日本のメンバーからなるデザインチームが開発を手掛け、日本ならではの巧みな職人技や感性を通して、真や質を追求している。この哲学が「Uni-ssentials by TDS」にも脈々と受け継がれているのだ。

「Uni-ssentials by TDS」は2023年に発表されて以来、年齢や性別にとらわれない普遍的な着心地とスタイルを追求してきた。最新コレクションのテーマは「温度」。軽量で通気性に優れた素材を用い、動きやすさと快適さを両立させているのが特徴だ。このコレクションの真骨頂は、その設計思想にある。従来のアパレルに見られたメンズ・レディースの区分けを廃し、「ヒューマンの衣服をつくる」という姿勢。さまざまな体型、国籍、ジェンダーのモデルによるフィッティングテストを繰り返し、各アイテム、各サイズで最適な着丈や身幅を個別に設定することに成功した。

コレクションを彩るイエローの配色には、1990年代に米国で実施されたプロケア・プログラムからのインスピレーションが込められている。これは医療専門機関とフットウェア専門ディーラーの認定マークの色であり、ニューバランスが靴づくりで大切にしてきた「フィット」と「クオリティ」の精神をアパレルにも継承する意図の表れだろう。素材面では、5デニールのコーデュラリップストップ素材を採用し、透けるほどの薄さと軽さでありながら、耐摩耗試験10万回以上の強度を実現。アイテムは「LIGHT NYLON RIP STOP」シリーズのウィンドジャケットやパンツ、「MIDWEIGHT JERSEY」シリーズのトップスなど幅広く展開している。

「Uni-ssentials by TDS」の真価は、単なるジェンダーレスという枠を超えている。これは「あなたはどう着たいか」という主体性を尊重する服づくりの提案だ。性別や年齢、体型の違いに寄り添い、着る人それぞれの個性を引き立てる。その姿勢は、多様性を認め合う現代社会への一つの回答とも言えるだろう。

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