【大阪・関西万博】デザインにも注目したい! 世界のパビリオン5選

  • 編集&文:佐野慎悟
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世界各国のパビリオンの中から、特に見応えのある5件をピックアップ。インパクトあふれる外観や、万博史上初の仕掛けなど、感動の体験が待っている。

Pen最新号『大阪 再発見』の第2特集は、4月13日に開幕する「大阪・関西万博」。万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。会場には158の国・地域と7つの国際機関、8つのシグネチャーパビリオン、13の民間パビリオンと4つの国内パビリオンが並び、世界中からトップクリエイターと最先端テクノロジーが集結する。パビリオンを手掛けているクリエイターや研究者たちに、知られざる万博の魅力や見どころを案内してもらった。

『大阪 再発見』
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①ITALY──創造性とハイテクの持続可能な融合

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(C)Visual MCA

ピアッツァ(広場)・テアトロ(劇場)・ジャルディーノ(庭園)という、イタリア文化における重要な社会空間に焦点をあて、ルネサンスの理想都市(Città ideale/The Ideal City)を現代の解釈で表現したパビリオンの設計は、建築家のマリオ・クチネッラが率いるマリオ・クチネッラ・アーキテクトのグループが担当。生命科学をはじめ、イタリア宇宙機関による航空宇宙、Italian National Hub of La Speziaによる水中技術などを中心に、創造性とハイテク、および持続可能性を融合できる国としてアピール。万博史上初めて、教皇聖座が専用コーナーを設け、カラヴァッジョの絵画『キリストの埋葬』(1604年)の原画を展示する。

②SAUDI ARABIA──曲がりくねった路地を抜け、砂漠の中のオアシスへ

 

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2025年 大阪・関西万博 サウジアラビア館

サウジアラビアの伝統的な都市構造物から着想を得たパビリオンは、王国の歴史、文化、遺産を反映しながら、よりよい未来へのコミットメントを体現する持続可能なデザインとして、ノーマン・フォスター率いるイギリスの建築設計事務所フォスター アンドパートナーズ(Foster+Partners)が設計を担当。日本のグリーンビルディング評価システムの最高レベル達成を目指しており、運営も含めたCO2のネットゼロの達成も視野に入れている。曲がりくねった路地は、サウジアラビアの街を探索するようなインタラクティブな空間体験を提供しつつ、イベントの舞台にもなる中庭や、没入型体験スペースへと来場者を誘う。

③NORDIC COUNTRIES──国と国とが手を取り合い、思い描くグローバルな未来

 

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@ The Nordic Pavilion

デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンという5つの北欧諸国からなる北欧パビリオン「ノルディック・サークル」は、ミケーレ・デ・ルッキとAMDL Circleによって設計され、RIMONDが建設を担当。それぞれ隣国同士ではあるものの、文化、言語、習慣が異なる個性豊かな国々が手を取り合い、「信頼」「持続可能性」「イノベーション」をコンセプトに、グリーントランジション、ライフスタイルとウェルビーイング、モビリティとコネクティビティなど、社会の重要なテーマに対して北欧ならではの解決策を提示する。1階には展示エリアとショップ、2階にはビジネスセンター、屋上にはルーフトップテラスとレストランが併設。

④STATE OF KUWAIT──過去、現在、未来と、砂漠を旅するパビリオン

 

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(C) LAVA

ニュスリ、LAVA、insglückの3社による大規模なコラボレーションプロジェクトとしてデザイン・建設されたパビリオンは、クウェートの自然の景観、豊富な遺産、革新的なビジョンを表現。大きく広がった翼を模した大胆なファサードは夜間にライトアップされ、進歩やエンパワーメントを促すクウェートの役割と、寛容性と容認性を象徴する。中央にあるドーム状のメインスペースは、クウェートの星空の下や、夜の砂漠で休息することをイメージして設計された。4つの展示室では、伝統とハイテクがクリエイティブに融合する没入感のあるインスタレーションを通して、湾岸諸国の過去、現在、未来を巡る旅の体験を提供する。

⑤NETHERLANDS──日の出を表す球体が圧巻、共感し共創する未来へ

 

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(C)AND BV & Plomp

建築事務所のRAU、体験型デザインスタジオのTellart、エンジニアリング・コンサルタント会社のDGMR、大阪の総合建設会社の淺沼組で構成する、共同事業体「AND BV」によって設計・建設されたオランダのパビリオンは、人々が集い、お互いに学び合い、刺激し合う空間としての「コモングラウンド」をテーマに、柔軟性のある未来への希望のメッセージとして、「man made sun- 次世代への太陽」を示す球体のデザインを採用した。これは海面に浮かぶ日の出を表すと同時に、共感し共創するコラボレーションと、誰もが持続的に利用可能なクリーンエネルギーを得られる未来を象徴する。

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