機能性とデザイン性を追求した、高品質なプロダクトを展開するアークテリクスから生まれたVEILANCE(ヴェイランス)は、厳しい山岳環境の中で磨き上げられた先進技術の数々を活かし、現代の都市生活に最適化した、究極のアーバンウェアを提案するハイエンドなアパレルラインだ。今年の1月末に、千葉県袖ケ浦市にオープンしたばかりのカフェ、JACQUEs(ジャック)を営むオリヴィエ・ガルシアと高遠菜都子夫妻が、先進的なテクノロジーに裏打ちされた、ヴェイランスのパフォーマンスを語る。
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世界の都市を渡り歩いた二人が、いま洋服に求める機能

港区麻布十番でOLINA(オリナ)というイノベイティブなフレンチレストランを営んでいたガルシアと高遠夫妻は、昨年10月末に店を閉じ、新たに高遠の地元である千葉県木更津市の隣町で、かねてから計画していたカフェをオープンさせた。ミシュラン星付きレストランで修行を積んだ経験を持つフランス人シェフと、元ファッションデザイナーというクリエイティブなカップルが、自分たちの理想を詰め込んで作り上げた小さなカフェは、オープン直後から話題を呼び、東京からも多くのファンが訪れる人気店となった。
「オリナでは数時間かけて楽しむ前衛的なコース料理を提供していましたが、カフェというスタイルを取るジャックでは、15分で食べ終わるようなカジュアルな料理を提供しています。私自身、これまでフランス、スウェーデン、オーストラリア、日本と、いろんな国で高級レストランやホテルから、ブラッスリーやビストロまで、いろんなお店で働いてきました。それぞれアプローチも客層も全然違いますが、美味しい料理を食べてもらいたいという、根底にある想いは変わりません」と、ガルシアは語る。
ジャックには1日に60人〜80人の来客があるというが、精鋭のメンバーとともに働いていたオリナとは違い、ここではすべての業務を二人だけで回さなければならない。当然、日々着るものには動きやすさを求める二人が、高機能なヴェイランスのウエアに身を包み、1日を過ごした。

「私たちは旅が好きなので、普段から軽くて機能性の高いウェアは意識して選んでいます」と、高遠はもの選びのこだわりを語る。「できるだけ荷物を少なくしたい旅先では、洗練されたデザインに撥水性や吸湿速乾性といった機能をあわせ持つヴェイランスのウエアは、とても重宝すると思います。雨に降られたり、汗をかいたりしても気にならないし、シワや汚れもすぐに落ちるイージーケアな点も心強いですよね。しかもロゴなどの主張がないミニマルなデザインなので、そのまま高級レストランや美術館にも行けるから、旅先でのフットワークはかなり軽くなりそうです」
キッチンの中で調理を行うガルシアは、着用したポロシャツの着心地の良さに目を丸くする。
「まるで、なにも着ていないみたいな感覚ですね(笑)。着心地が軽いのはもちろん、どんな作業をしていても動作をまったく妨げることがないし、蒸れるような感じもありません。仕込みから営業終了まで長時間動き続ける際に、こういうウエアを着ていたら常に高いパフォーマンスを保てますね」

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料理とファッションがリンクする、究極のシンプリシティ
ガルシアは着用者が必要とする機能をストイックに追求する傍ら、ロゴやグラフィックといった装飾的な要素は一切排除するヴェイランスのデザイン哲学に、同じく真摯なものづくりを志すシェフとしての共感を示す。
「近年ではファッションでも料理でも、大袈裟でデコラティブなものよりも、より本質的でミニマルなものが好まれるようになっていると思います。ヴェイランスのウエアは一見シンプルに見えて、そこに込められたテクノロジーや機能はとても複雑で前衛的です。私が目指しているのも、見た目はシンプルだけど、口に入れると複雑さがわかる料理です」

東京湾アクアラインを利用すると、都内から車で1時間未満という立地にあるジャックには、オリナ時代から二人を知るグルメな客も多く来店するが、メインの客層は近隣で生活するローカルの住民だ。誰とでも気さくに接する二人の元には、文字通り老若男女、日々さまざまな客が訪れる。
「ジャックに来てくれるお客さまは、『これは好き』『これは好きじゃない』と、料理に対してとても直感的に反応してくれる方が多いので、キッチンから見ていると、毎日いろんな表情が見られてとても楽しいです」と、ローカルに根差したカジュアルなカフェスタイルで客を迎える楽しさを語るガルシア。「これまでハンバーグとかスパゲッティみたいな典型的な洋食にしか触れてこなかったようなおじいちゃんやおばあちゃんは、セットで出しているキヌアのサラダみたいな見たことも聞いたこともない料理を前にすると、最初は『これは食べたくない』って言うんです。でも2回、3回と少しずつ慣れていくうちに、すぐに『キヌアが食べたくて来た』って言ってくれるようになるんです(笑)」

続けて高遠は、メニューに写真を載せない理由を説明する。
「メニューに情報を載せすぎると、実際に料理が目の前に来た時の感動も薄れるだろうし、食べる前から先入観を持たせてしまうことになると思います。もちろん、私たちはローカルの生産者さんたちがこだわりを持って育てた美味しい食材を厳選して使っていますが、食材の情報も特に記載していません」
ファッションの世界においても、そのブランドに付随する情報やロゴが価値基準となることが多い。しかしそういった先入観を取り払った状態で、自身のライフスタイルに本当に必要な機能とデザインを考えてみると、驚くような新しい発見や出会いがあるだろう。

料理を構成する際に最も重要視するのは、「感情に訴えかけるフレイバー」だと語るガルシア。
「料理もファッションも、食べたとき、着たときにどう感じるかが一番大事だと思います。料理の場合、ビジュアルはある程度すぐに決まるんですが、フレイバーに関しては、何度も試作を繰り返しながら、ただ美味しいだけではなくて、感動を与えられるようなフレイバーになるまで調整を続けます。アークテリクスも商品が完成するまで何年も試作を続けるということですが、その大部分が機能の追求で、デザインはそれに付随してくるものではないでしょうか。一度感動を覚えた経験は、ずっと心に残ります。私はいつも、そうやって何年も思い出してもらえるような料理を作りたいと願っています」

ものづくりという名の下で、意外な共通項が垣間見えた料理とファッション。本質を求めれば、その外見はどんどんミニマルに洗練されていき、複雑に構築されたフレイバーや機能性が、人々の心に感動を与える。世界を渡り歩いた末に、あえてローカルに根差したカフェを始めた等身大の夫婦とヴェイランスとの出会いは、とても自然なことのように見えた。
アークテリクス
https://arcteryx.jp/