
昨年はカーディガン、今年はセーター。
まったく同じカシミヤ素材、同じ色のニットを2年連続で購入。
わたしの金銭感覚ではとても高価な服なのに、なぜ無駄とも思える酷似した品を買い足したのでしょうか??
それは、「絶対にヘビロテで着る」から。
カーディガンを昨年も今年も毎日のように着て、「これぞ自分に合う服(精神的に)」との確証を得ました。
---fadeinPager---

山形に拠点を持つニット専業の会社、米富繊維が手掛ける「ヨネトミ」の製品。
柔らかいから人気のカシミヤなのに、めちゃめちゃコシがあり、ぜんぜんフワフワじゃないんです!
着ている気分はスウェットシャツのよう。
ビンテージのミリタリーセーターのようでもあり。
何度も洗い込めばほぐれて一般のカシミヤの風合いに近づくようですが、それまではタフな顔つき。
この変化する過程を、糊つきの固いリジッド(生)デニムを洗い育てる様子になぞらえて、米富繊維は「リジッドカシミヤ」と命名。
新しいカシミヤのあり方を模索したコンセプト商品なのです。
---fadeinPager---

ぶっちゃけ、超マニアックな品です。
服ヲタクにしかお薦めいたしません!
わたしがリジッドカシミヤ製品に惹かれる理由を列挙しますと、
1. ガチガチに度詰めした高密度ニットなのに、しっとりと柔軟なのは細いカシミヤの糸を使っているからこそ。
2. 「カシミヤ=ラグジュアリーな生活」というセオリーを打ち壊す発想力。
3. ニット表面に独特な“ゆらぎ”と凹凸があり、縫製も程よくカジュアルでビンテージニットの風合い。
4. 無染色のカシミヤ本来のベージュ色が上品で大人に向く。
5. 手間とコストを掛けてつくったニットなのに自慢げじゃないさりげなさ。
6. 手に持つと意外なほどずっしりと重さあり。
ニットは糸分量が多いほど高価になることを考慮すると、価格に納得がいく。
7. カシミヤなら暖かい?よくわからん w
---fadeinPager---

より詳細なうんちく話をしますと、これはカシミヤ山羊から採取した毛を強く撚った「強撚糸」がベースです。
それ自体が一般のカシミヤ製品で使わない糸で、さらに繊維が切れる限界まで撚り自社工場で編み上げてます。
目指されたのは「タフな着心地」。
だからこそスニーカーのように、気づくと愛用してる服になっているというワケです。
そんな素晴らしいニットですが、ひとつだけ難点があります。
それは編む工程で付着した機械油の匂いが残っていること。
一般のカシミヤニットは、水洗いしてリンスを掛けフワフワの風合いに仕上げて出荷します。
リジッドカシミヤにはその工程がありません。
製品の油臭を抜こうとすると、購入者が水洗いで落とす必要があります。
(匂いに関しては米富繊維のECサイト内に「ワークウエアを思わせる紡績油特有の匂いも魅力の一つです」との記述あり)
洗剤でお薦めなのは、ヤシノミ洗剤のような台所用です。
衣類用洗剤は油落としに特化していないので、台所用だと油を落としやすいです。
(皮脂汚れも同様に台所洗剤を混ぜるとよく落ちます)
ただし糸の天然の脂分まで抜け落ちる可能性がありますから、多くの水に溶かしてさっと押し洗いしてよくすすぎ、乾かすのがベターでしょう。
---fadeinPager---

あともうひとつ難点があるとすれば、見た目にお洒落感が出にくいことでしょうか w
この服を着ていても、よほどの服好きでないと関心を示さないと思います。
先日ファッションブランドのユーゲンの展示会に行ったら、デザイナーの小山さんに「それヨネトミですか?」と聞かれました。
よくご存知で!と思ったら、「僕もよく着てる服なんです」とのこと。
そんな“同士”でもない限り、コミュニケーションツールとしては機能しにくいでしょう。
価格は2025年3月現在で、
セーター/¥49,500
カーディガン/¥58,300
サイズはセーターで0〜4の5サイズ、カーディガンは1〜4の4サイズ。
原材料の高騰もあり毎年少しずつ値段アップしてます。
この先に下がることはないでしょうから、お得に買うなら早いに越したことはないかもしれません。
わたしが今回のセーターを入手した場所は、米富繊維の東京展示会。
会場でバイヤーたちに限定販売されていたものを試着して買いました。
この会社は年に2回以上東京でポップアップショップを開催してますので、試着希望の方は訪れてみてはいかがでしょうか。
---fadeinPager---

最後に余談ながら、わたしが所有するカシミヤ製品のなかで、究極のクオリティのマフラーを掲載します。
異次元レベルのラグジュアリーな品。
見るからに高級な光沢があり、肌触りもとろっとろ。
ロロ・ピアーナの製品です。
このような超高級素材がお好みの人は同ブランド、もしくはゼニア(エルメネジルド・ゼニア)に行くのがいいと思います。
百貨店で手に入る服飾品のなかで最高ランクでしょう。
共通点は2社ともにイタリアの生地メーカーであること。
各国のファッションブランドに生地を供給する側ですから、自社開発力が半端ないのです。
今回の記事で紹介した我が愛する米富繊維も、ニットづくりに誇りを持つ工場。
わたしのような服ヲタクには響くんですよねー、こんなつくり手たちの仕事が。

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。