【大阪・関西万博】万博の目玉を有する「日本館」で、“循環”を表現するビジュアルシステム

  • 文:高野智宏
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火星由来の隕石の欠片に触れられる展示としても話題の「日本館」は、“循環”がテーマ。同館のビジュアル制作を担当したアートディレクターの色部義昭は、このテーマを表現するためにどのような工夫を凝らしたのか。

Pen最新号『大阪 再発見』の第2特集は、4月13日に開幕する「大阪・関西万博」。万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。会場には158の国・地域と7つの国際機関、8つのシグネチャーパビリオン、13の民間パビリオンと4つの国内パビリオンが並び、世界中からトップクリエイターと最先端テクノロジーが集結する。パビリオンを手掛けているクリエイターや研究者たちに、知られざる万博の魅力や見どころを案内してもらった。

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日本館

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円を描くように木の板が並ぶ日本館。提供:経済産業省(以下同)

会場で出た生ごみを微生物の力を活用してバイオガスを生み出すプラントをはじめ、あらゆる要素で「循環」を表現する日本館。万博の目玉、火星由来の隕石の欠片に触れられる展示でも話題だ。

そんな日本館におけるビジュアル制作を担当しているのが、アートディレクターの色部義昭だ。

「建築、デザイン、グラフィックなどの要素が縦割りに分断されがちなパビリオンのデザイン。それらを統合してメッセージを最大化できるチャンスだと思いました」

印象的なのが、アメーバのような形状のビジュアルシステム。しかも、まさに増殖・分離し言語や記号へと姿を変えるのだ。

「アイコンやイラストになったりとやわらかくかたちを変えて、コンテンツの隅々までアイデンティティを浸透させる提案です。僕らは“モニョ”と呼んでいます(笑)」

サインやサイネージでの表現など、館内には多彩なかたちの「モニョ」と遭遇できる。

色部が「もうひとつの挑戦」と言うのが、公式サイト内のウェブマガジン「月刊日本館」。

「万博は未来を考える機会。ぜひ未来を担う子どもたちにも読んでほしい。難しい内容でも、楽しく読めるデザインを心掛けました」

「循環」という壮大なテーマを館全体で表現する日本館。そこかしこに潜むデザインや展示の工夫にも注目してほしい。

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ファームエリアでは藍藻類の仲間を培養する装置、フォトバイオリアクターを立体的に配置する。
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「月刊日本館」。毎号の特集内容により、配置するモニョの形状が変化する。
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色部義昭

グラフィックデザイナー

1974年、千葉県生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了。日本デザインセンターにて色部デザイン研究所を主宰。おもな仕事にOsaka MetroのCI、国立公園ブランディング、東京都現代美術館のサイン計画など。平面から立体、空間まで幅広く手掛ける。亀倉雄策賞、ADC賞、SDAサインデザイン大賞など受賞多数。

(C)Leo Arimoto

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