【大阪・関西万博】福岡伸一が掲げる“動的平衡”を、32万球のLEDで表現するインスタレーション

  • 編集&文:渡邊卓郎
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プロダクトからサービスまで数々のプロジェクトに携わるタクラムのデザインエンジニア、緒方壽人。そんな彼が、大阪・関西万博の生物学者・福岡伸一によるパビリオンでインスタレーションを手掛けた。その想いとは。

Pen最新号『大阪 再発見』の第2特集は、4月13日に開幕する「大阪・関西万博」。万博テーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。会場には158の国・地域と7つの国際機関、8つのシグネチャーパビリオン、13の民間パビリオンと4つの国内パビリオンが並び、世界中からトップクリエイターと最先端テクノロジーが集結する。パビリオンを手掛けているクリエイターや研究者たちに、知られざる万博の魅力や見どころを案内してもらった。

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福岡伸一/シグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」

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テストの様子。38億年の生命史がコンピューター制御による32万球のLEDによって表現される。(C)DYNAMIC EQUILIBRIUM OF LIFE / EXPO2025(以下同)

「いのち動的平衡館」のキーワードは、生物学者の福岡伸一が掲げる「動的平衡」だ。「動的平衡」とは、“いのちは絶えず自らを壊しながらつくり続ける移ろいゆく流れの中にいる一時的な存在である”というもの。

「一つひとつは一時的な存在である生命が、38億年前から途切れることなく受け継がれてきたこと自体が奇跡的なことだ、と気付いてもらえたら」と語るのは、展示を手掛けるタクラムのデザインエンジニア、緒方壽人。彼らが生命の「動的平衡」を体感させるために選んだ表現が32万球のLEDを使ったインスタレーションだ。

「光が立体的に構成され、ストーリーが展開します。福岡先生がよく説明されることですが、生命は自動車のように食べた物質が単に燃料として使われるというわけではなく、食べたものが身体の一部になって、またその身体の一部が外に出ていくということを、たくさんの光の粒が一時的に自分の一部になったり、また他の多様な生き物の一部になったりすることで表現しています」

絶え間なくゆらぐ生命を表す光の粒は、蛍や火の粉のような儚い光で表現。鑑賞者は光の粒子の世界で、自らの身体が粒子化したような感覚を得ることだろう。移ろいゆく生命の動的平衡を体感した時、生命についての新たな気付きが生まれるはずだ。

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中央のシアターシステムは直径10m、全周30m。明滅する光の粒子が生命から生命へと絶え間なく姿を変えるさまを表現。
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細胞膜をイメージしたパビリオンは建築家の橋本尚樹が手掛けた。内部には柱や梁のない大空間が広がる。
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緒方壽人

デザインエンジニア

1977年、熊本県生まれ。デザイン、エンジニアリング、アート、サイエンスを領域横断するデザインエンジニア。東京大学工学部卒業。プロダクトからサービスまで多様なプロジェクトに携わる。おもな実績に「HAKUTO」月面探査ローバー、NHK Eテレ「ミミクリーズ」、21_21 DESIGN SIGHT『アスリート展』など。

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