iPhone 16e iPhone16の新しいベースモデルが誕生!アップルインテリジェンスも対応でAI新時代の幕開けとなるか

  • 文:林信行
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iPhone 16eのディスプレイはiPhone 16や16 Proと同じ6.1インチで、高コントラストの写真を引き立てるSuper XDR仕様。顔認証などに使うフロントカメラは画面上の黒いノッチと呼ばれる部分に収められている(上位モデルが採用しているダイナミックアイランドとは異なり情報の表示や操作機能はない)。

16世代目iPhoneの基本機能をより手頃に

iPhoneのラインアップに、久々に新モデルが追加された。2月19日発表のiPhone 16eだ。これまで提供していた最安モデル、iPhone SEを置き換える位置づけで、4月から日本でも提供される「アップルインテリジェンス」を最も手軽に楽しめる製品でもある。

ベースモデルというと、多くのメーカーは「とにかく安く」を目標に製品を作ることが多い。しかし、アップルは何よりも製品体験を重視したテクノロジー業界のブランドビジネス企業。決して品質の落ちる部品を使って製品体験を損なうことはない。

他社の多くのベースモデルがプラスチック筐体である中、iPhone 16e側面には航空宇宙機器に使われるグレードの頑丈なアルミニウムが採用され、背面にはまるで金属のようなガラスが使われており、高級感が漂う。

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iPhone 16e(512GB)のブラックモデル。一見金属のように見えるさらさらな手触りの背面ガラス、その左上に存在感のあるカメラレンズが1つ(その横にマイクとフラッシュ)。側面にはいくつかボタンがあるが、影と同化してそれほど目立たない。

iPhone 16eは、シンプルな背面の上側に1つだけカメラレンズを配置。直径1.5cm弱と数世代前のiPhoneと比べるとかなり大きめのレンズで、存在感がある。このレンズの大きさや配置のバランスが絶妙で、製品に引き締まった印象を与えている。側面のボタン類も、精密加工で控えめな作りとなっている。カラーはホワイトとブラックの2色展開であり、色を楽しみたい人のために、純正ケースは5色のバリエーションが用意されている。

妥協がないのは外観だけではない。プロセッサはA18を採用し、カメラも標準モデルと同等の仕様で性能差はそれほどないだろう。高解像度のゲームも同じくらい快適にプレイできるなど、最高画質に妥協がない。

カメラは、新たに開発した2イン1カメラとして、35mm換算で26mmの広角撮影ができる4800万画素のカメラを搭載。中央の1200万画素分を切り出して52mmで撮影できる2倍ズームモードも備えている。必要十分な解像度で、より目で見た感じに近いとされる52mmでの撮影が可能だ。さらにデジタルズームを組み合わせれば、画質は落ちるものの最大10倍までの撮影ができる(最近はAI処理により、従来のデジタルズームよりも高品質な写真が撮影可能)。

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4800万画素の高解像度な標準カメラは、光学2倍ズームの撮影も可能。レンズ1個で2通りの高額撮影ができる2イン1カメラとなっている。デジタルズーム(写真をデジタル処理で拡大)も合わせると最大10倍までズームできる。こちらは2倍ズーム撮影のサンプル。

Phone 16eは、高度な機能を必要としていない人のためのベースモデルだ。iPhoneの日常的用途のほとんどをソツなくこなしてくれる。日常生活のコミュニケーションツール(メール、LINE等)、情報収集(ブラウザ、SNS)、エンターテイメント(動画視聴、簡単なゲーム)、実用機能(カレンダー管理、地図・ナビゲーション、QR決済)、思い出を残すための写真・動画撮影といった基本的なデジタルライフのニーズには、美しく見やすいディスプレイと高品質な文字表示、スマートフォンとは思えない音響品質で応えてくれる。

加えて、視覚障害や聴覚障害、運動障害のある人たちのためのアクセシビリティ機能にもしっかり対応。現行と同様、USB-Cによる急速充電と周辺機器接続にも対応している。

上位モデルのベースとなるが、基本的な機能は高品質で維持している。そんな絶妙な立ち位置の製品がiPhone 16eだ。

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基本は旧来のiPhoneと同じだが、着信/消音スイッチの代わりにユーザーが好きな機能を割り当てられるアクションボタンが採用されている。またSIMスロットを備えているが、それに加えてSIMカードなしで電話回線契約が利用可能なeSIMにも対応している。

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未来の日常となるであろうAI機能、「アップルインテリジェンス」への手頃な入場チケット

iPhone 16eで特筆すべきは、これまで英語圏のみで提供されてきたAIアシスタント機能「アップルインテリジェンス」が、日本語版として4月から対応できることだろう。

これまでのiPhoneでは、ルート案内や予定管理といった目的別に「アプリ」を起動する利用スタイルが当たり前だった。しかし、アップルインテリジェンスの登場により、この根本的な利用パターンが変わろうとしている。やりたいことを直接アップルインテリジェンスに頼むことで、複数のアプリやサービスを横断して実現する新しい操作体験が始まるのだ。

たとえば情報検索では、従来のようにブラウザを開いてキーワードを考える必要はない。アップルインテリジェンス対応iPhoneならSiriに尋ねるだけで、必要に応じてChatGPTなど外部AIに調査を依頼し、最適な回答を提供してくれる。 

特に注目すべき点は「ビジュアルインテリジェンス」だ。これは簡潔言うと、カメラで写したモノをAIが情報にまとめてくれる機能だ。iPhone 16や16 Proシリーズではカメラコントロールから、iPhone 16eではアクションボタンから起動できる。カメラのような表示で周囲の物体や情報にかざすと、花や動物の種類を識別したり、イベントポスターの情報をカレンダーに追加したり、店舗の評判検索や予約までできる。目で見たものを調べたり、すぐに活用できる情報に変換できるかなり有益な機能となっている。

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アクションボタンを押してビジュアルインテリジェンスを呼び出して植物の名前を調べたり、チラリに書いてある予定をカレンダーに自動入力したり、気になったスニーカーの情報をGoogleで検索したりできる。

なお、これらがアップルインテリジェンスのすべてではない。

AI機能は、他のOSの方が先行して提供してきた。しかし、そのほとんどは自社開発または提携先の単一AIでユーザーの要望に応えようとするものだった。対してアップルインテリジェンスは「御用聞き」として設計され、自身で対応できる要望はそのまま処理し、ChatGPTなど他社AIが得意とする領域では適切に外部連携で補う。さらに革新的なのは、ChatGPTなどのようにわざわざアプリを起動せずとも、アップルインテリジェンスがアプリ内機能を呼び出して情報を収集・加工してくれる。これは、今後数年間でiPhoneの利用中心は、アプリ中心から、このアップルインテリジェンス中心へとシフトしていくものと思われる。

つまり、アップルインテリジェンスは1〜2年後の日常的に使うAIの一つとなっている可能性が高い。テクノロジーの歴史を振り返れば、GUIやタッチ操作が登場した時のような、根本的なパラダイムシフトの始まりと期待されている技術だ。

それだけにアップルにとってもこの機能は戦略的に重要で、iPhone 16eをこの革新的体験にどうしても対応させる必要があった。前モデルのiPhone 15はアップルインテリジェンスには非対応となっていおり(iPhone 15 Pro/15 Pro Maxは対応)であり、iPhone 16eこそが、新時代への最も手頃な「入場券」になっているのだ。

未来の日常を先取りするためにも、新しいスマートフォンを買うなら、この新しい時代の入り口となるiPhone 16eか上位モデルを選ぶことが賢明だろう。

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iPhone 16eには衛星経由でSOSを送る機能が追加されている。携帯の電波が届かない場所で遭難した時でもiPhoneを空に向けて掲げて救助メッセージを書き込めば、衛星通信でそれを送ることができる。iPhoneはいざという時にあなたの命を守るスマートフォンでもある。

 

公式サイト

www.apple.com/jp/iphone-16e/

 

林 信行

ITジャーナリスト

1990年から最先端の未来を取材・発信するジャーナリストとして活動を開始。アップルやグーグルなどIT大手に関する著書を多数執筆。最近は未来をつくるのはテクノロジー企業ではないと良いデザインやコンテンポラリーアートの取材に注力。リボルバー社社外取締役。金沢美術工芸大学客員教授。

Twitter / Official Site

林 信行

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1990年から最先端の未来を取材・発信するジャーナリストとして活動を開始。アップルやグーグルなどIT大手に関する著書を多数執筆。最近は未来をつくるのはテクノロジー企業ではないと良いデザインやコンテンポラリーアートの取材に注力。リボルバー社社外取締役。金沢美術工芸大学客員教授。

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