【大阪・関西万博】アニメ監督・河森正治のパビリオンはリユース前提、建物が物語る“いのちの循環”

  • 文:高野智宏
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アニメ監督・河森正治が大阪・関西万博で手掛けるパビリオンは、圧倒的な表現力で「いのちめぐる冒険」へ誘う。それは展示だけでなく建物も同様だ。建築家、SANAAの小野寺匠吾に話を聞いた。

Pen最新号『大阪 再発見』の第2特集は、4月13日に開幕する「大阪・関西万博」。万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。会場には158の国・地域と7つの国際機関、8つのシグネチャーパビリオン、13の民間パビリオンと4つの国内パビリオンが並び、世界中からトップクリエイターと最先端テクノロジーが集結する。パビリオンを手掛けているクリエイターや研究者たちに、知られざる万博の魅力や見どころを案内してもらった。

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河森正治/シグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」

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セルの積み方はランダムに見えて、実は温熱環境を考慮した配置設計となっている。(C)2024 Shoji Kawamori / Office Shogo Onodera, All Rights Reserved.

MR/VRシアターや没入型ミ ュージカルなど、圧倒的な表現力で「いのちめぐる冒険」へ誘う、アニメ監督・河森正治のパビリオン。展示に加え、建物も話題だ。

セル(細胞)という、鉄骨フレームとコンクリートパネルで構成するモジュールが積み重なる構造体。この建築に、社会課題を解決する「未来社会の実験場」という万博の理念を体現したのが建築家の小野寺匠吾。「リユースによる資源の循環を念頭に設計しました」という。

パビリオンは宇宙・海洋・大地に宿る命の連鎖を表現するが、モジュールにもその意義を込めた。

「パネルにはHPCという、鉄筋ではなくカーボンワイヤーで圧縮応力をかけたコンクリートを採用。これにより海水の使用が可能となり、真水の枯渇問題に対するひとつの答えとなっています」

2.4mというサイズも利便性を考慮して設計されている。

「モジュールを5個連結すると40フィートコンテナの積載サイズになります。こうして海運時のスリム化、効率化を図っています」

前述の通り最終目標はリユース。既に公募へ向けて準備中だ。

「会期後は沖縄の教育施設などが移設の可能性を検討しています。HPCは沖縄の会社が開発した素材。縁を感じますね」

セルは名前の通り分裂、再生し、命を循環させていく。

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小野寺匠吾

建築家

1984年、神奈川県生まれ。大学卒業後、SANAAに所属し、8年間にわたり建築設計に従事。2018年に独立し、小野寺匠吾建築設計事務所(OSO)設立、住宅や店舗、オフィスに家具デザイン等、多彩な案件の設計を手掛ける。デジーンアワード2018、フレームアワード2019、DFAアジアデザイン賞2022など受賞多数。

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