アメ村OB芸人、ロッチ・コカドケンタロウが大阪の新旧古着屋巡りで「お宝」を発見

  • 写真:前田麻美
  • 編集&文:佐野慎悟
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創作のインスピレーションを得たり、仕事から離れて心を安らげたり、思い思いのお気に入りの場所をクリエイターたちに案内してもらった。今回はお笑いコンビ「ロッチ」のコカドケンタロウが、最近気になっていたという大阪の古着屋3軒をピックアップ。

大阪がいま、大きく動き出している。そんな大阪の街をより深く知るために、最新の旬なエリアから、名建築やローカルフードまで、地元をよく知る編集者やクリエイターに案内をしてもらった。第2特集では開催直前となった「大阪・関西万博」の見どころを紹介。ダイナミックに変化を続ける“いま”だからこそ出会える大阪の魅力を発見しよう。

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コカドケンタロウ●お笑い芸人。1978年、大阪府生まれ。2005年に中岡創一とともに「ロッチ」を結成。ツッコミ、ネタづくり担当。43歳の時にミシンを使った裁縫にハマって以来、服やバッグを大量に自作する日々を送る。取材時に着ていたパンツもそのひとつ。毎週月曜22時よりYouTube『ロッチナイト』を生配信中。写真の店はアメ村の「フラッグ」。この日着ていたM-65フィッシュテールパーカと同じサイズのライナーを発見し、すかさず購入した。

古着好き芸人も注目する大阪の新旧古着タウン、アメ村と中崎町

お笑い芸人として上京する以前は、大阪アメリカ村の古着屋で働いていたというコカドケンタロウ。

「高校生の頃から古着が大好きで、僕の夢は古着屋になるか、芸人になるかの2択でした。僕が働いていた時と比べると、アメ村の古着屋さんはだいぶ数が減りました。でもまだまだいい店がたくさん残っていて、今日行こうと思っている『フラッグ』も、僕ら世代にはドンズバな店のひとつです」

大阪で古着といえばアメ村があまりにも有名だが、ちょうどコカドが上京した2000年あたりから、梅田駅の東側にある中崎町が注目されるようになり、いまではレトロな街並みの中に個性的なショップが軒を連ねる、一大古着タウンとして人気を博している。

 「『ピグスティ』は東京の原宿店によく行きますが、中崎町店はとにかく品揃えの豊富さが魅力。『ヤマストア』は、以前ファンの方からこの店オリジナルのキーホルダーとステッカーを頂いて、ずっと気になっていたお店です。久しぶりの大阪。3軒回ってどんな収穫があるか、とても楽しみです」

休日の昼下がりに新旧大阪古着タウンを練り歩く、“コカドケンタロウの大阪古着日和”に密着した。

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コカドケンタロウのお薦め古着屋3選

1. フラッグ

下積み時代に一時期芸人としての活動に区切りをつけ、三角公園前にあった古着屋で社員として働いていたコカドにとって、アメ村は甘酸っぱい青春時代を過ごした思い出の地。古着屋を辞めて再度お笑いの活動を再開した当時は、現在の相方である中岡創一とともに深夜にカプセルホテルで清掃のアルバイトをしていたこともある。

「清掃の仕事は、お客さんが部屋を出るまでなにもしないで待っている時間が長いので、ずっと中岡くんとくだらない話ばかりしていましたね。その時はまだコンビを組んでいなかったんですが、だんだん仲よくなって、後に上京してからコンビを組みました」

そんな下積み時代のソウルフードが、三角公園前にあるたこ焼き店の甲賀流。

「いまでこそ毎日行列ができていますが、90年代は全然そんなことなくて、お金もなかったから、特に古着屋をやっていた時は、2日に1回は甲賀流のたこ焼きが昼ご飯でした」

そんなアメ村にはいまでも数多くの古着屋が軒を連ねているが、なかでもコカドの好みにピッタリと合うのが、直球のアメカジを提案する1999年創業の「フラッグ」だ。

店に入ってぐるりと店内を見渡すと、すぐにこの日着ていたM-65フィッシュテールパーカと同じサイズのライナーを発見。コカドのM-65はアルミジッパーを採用した70年製で、このライナーも77年製と年代も近い。店主から「これ以降につくられたものはもっと色合いが濃い」と聞いて、入店早々コカドの興奮ボルテージはマックスに振り切れた。

「こういうことですよ! 古着の楽しさって、出会いなんですよ!」

その後も店主と大好きなコンバース・オールスターの話や、ともに40代から始めたサーフィンの話でひとしきり盛り上がり、1軒目からしっかり古着ショッピングを満喫した。

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目利きの店主がアメリカで直接買い付けた、アメカジ、アメトラ、ミリタリーなど、古着の人気どころがずらりと揃う名店。革靴の取り揃えも多い。コカドが手に持っているのは、店主が20年以上前にアメリカで購入した、1980年代デッドストックのオールスター。当時400足仕入れたものがいまも数点残っている。
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店主が20年以上前にアメリカで購入したデッドストックのオールスターは、”銀箱”と呼ばれる特徴的な箱から80年代のものだとわかる。
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好みのサーマルシャツを発見したコカドは、「パッケージがこんなにかっこいいから、せっかく買っても開けずにこのまま飾りたくなりそやな」と苦笑い。


フラッグ

住所:大阪府大阪市中央区西心斎橋2-17-13 新すみやビル1F
TEL:06-6213-4515
営業時間:13時〜20時(月〜金) 12時〜19時(土、日、祝)
不定休 Instagram @flagusedclothing

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2. ピグスティ a⇄z ストア 中崎町店

付加価値の高いレアものではなくて、毎日なんの気なしに使えるベーシックな古着を探すなら、AからZまで、ありとあらゆるアイテムを網羅するという意味の「a⇄z」を店名に冠したこの店は必見。数百円の手頃なものから、アウターでも1万円台で買い物ができて、気軽にショッピングを楽しむにはうってつけだ。

「こういうベーシックなアイテムが幅広く揃う店では、服を自作するときにパターンの参考にできるものを探すことが多いですね。40代になってからなにか趣味が欲しいと思って始めたのが、ミシンを使った裁縫でした。いまではすっかりハマってしまい、今日履いているこのパンツもそうですが、なんでも自作するようになりました」

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原宿や下北沢などにも店舗を展開する有力店。その中でもA〜Zまでなんでも揃うという意味の「a⇄zストア」は豊富な商品量が特徴。1階がメンズの「ピグスティa⇄zストア」、2階がウイメンズの「ヴィヴィー」、3階はイベントスペース。
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左:ピンクのバンダナとワッペンを購入。 右:ペーパージャケットを探していたコカドは、ライオン、ゾウ、サイ、シマウマなどがプリントされた一着を発見。「うわー。これめっちゃ大阪やな。昔アメ村こんな人ばっかやったわ(笑)」
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コカドがM-65の中に着ていたコーチジャケットの襟には、仕事の移動時間を利用して施したという細かい刺繍がある。


ピグスティ a⇄z ストア 中崎町店

住所:大阪府大阪市北区中崎西4-1-26 1F
TEL:06-6147-6871
営業時間:12時〜20時 不定休
Instagram @pigsty.a_z.nakazaki_

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3. ヤマストア

いろんな個性を持ったショップがひしめき合う中崎町エリアの中でも、ひと際異彩を放っているのが「ヤマストア」。軒の上に巨大な岩型のオブジェが配置されたシュールな外観から既に、ひと筋縄では行かないオーラが漂っている。

「古着はもちろん、いままで見たこともないような小物やオブジェも多いから、誰かにプレゼントするものを探すのもよさそうですね。今日はピンバッジをいくつか買っていきます。自作のアイテムを芸人仲間にあげる時に、その人の個性に合わせたピンバッジをつけてプレゼントしてみようと思います」

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アメリカで買い付けた古着を中心に、雑貨、オブジェ、アートなど、アヴァンギャルドなセンスあふれるラインアップが魅力の「ヤマストア」には、ここでしか出会えない個性豊かなアイテムが揃う。オリジナルのアパレルや小物も豊富に展開する。
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左:店内には、どこで見つけてくるのか、不思議なオブジェもところ狭しと並び、そのほとんどに値がついている。 右:ヤマストアオリジナルのパーカをチェック。
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ケロッグ・コーンフレークのノベルティと思われるトレイを手に、「ミシンの小物入れによさそうやな」と呟くコカド。


ヤマストア
住所:大阪府大阪市北区中崎2-2-2 第2中野ビル1F
TEL:06-6136-3211
営業時間:13時〜20時(月〜金) 12時〜20時(土、日、祝) 不定休
Instagram @yamastore

 

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