土を耕すことから始まる、香り豊かな国産精油。THREEが考える“本物のものづくり”とは

  • 編集&文:井上倫子
Share:
熊本県南阿蘇でのゼラニウムを収穫する様子。

2009年のブランド誕生以来、自然由来や国産原料にこだわった商品を展開しているTHREE。精油に焦点をあて、九州の自社農園でハーブを育てるところから取り組み、さらに精油の研究・開発まで徹底してこだわっている。

2024年9月に15周年を迎えたTHREEだが、今回はTHREEの精油づくりの中核を担っている佐井賢太郎さんが、なぜ国産精油にこだわるのか、そしてどんな取り組みをしているのかを語ってくれた。

【関連記事】日々のマインドに寄り添うTHREE エッセンシャルセンツを、モデルの安井達郎がレビュー

---fadeinPager---

自ら手を動かすことが、本物のものづくりになる 

group1.jpg
THREEでは、精油のみでつくられたフレグランスのほか、スキンケアからボディケアまで商品の目的に合わせ、高品質な精油を独自のブレンドで配合している。

ブランドが始まった2009年以来、植物成分をふんだんに使ったTHREEのスキンケアは、当時の日本には珍しいスタイリッシュなデザインとコンセプトで人気を集めてきた。いまではナチュラルな化粧品がたくさんあり、そんななかで改めてTHREEはどんなブランドなのかと考えたときに「本物のものづくり」という言葉が出てきたという。「本物のものづくり」とは語れることで、大事なものは自らの手足を動かして形にして初めて、確かな品質と価値をお客様に届けられるのではないか、と。

佐井さんは、THREEとは原料から商品の開発、クリエイティブ、マーケティングまで、どの部分でもとことんこだわるブランドだと語る。

「結果のためにはていねいな手作業を惜しみなく行うなど、非効率なところもあるかもしれません。でも、私はそういうところにクラフトマンシップを感じていますし、それがTHREEの魅力だと思っています。精油づくりでいえば、まずは自分たちで畑を耕すところから取り組むことで、より多くのことをお客様に提供でき、それこそが「本物ものづくり」になると考えています」

佐井のコピー.jpg
佐井賢太郎 ●THREE ホリスティックリサーチセンター センター長。薬学系大学院卒業後、大手化粧品・日用品会社にて基礎研究から商品企画開発まで幅広く経験。2019年より株式会社ACROに入社し「THREE」ブランドにて商品開発・デザインチームのマネージャーを経て、22年より現職。

そんな考えから、2022年に熊本県南阿蘇、さらに2023年に佐賀県唐津にハーブガーデンを展開し自ら原料となる植物を栽培することになる。

「例えば海外の視点から見ると、コスメに限らず日本のブランドはものづくりにこだわるところが評価されていると言われています。THREEはまだ数ある日本のコスメブランドのひとつかと思いますが、自分たちの手で精油づくりをしていることが、商品の高い品質につながり、また数十年後には必ず国産の精油づくりが世界的な評価につながっていくと信じています」

 

THREEの商品についてさらに詳しく

---fadeinPager---

一滴の精油を生み出すには、広大な畑が必要 

定植.jpg
ゼラニウムの苗を植える様子。地元の農家と協業し、収穫や植え付けにはTHREEのスタッフも自ら畑作業に参加している。

THREEはブランドを立ち上げた当初から、ヒトの命と健康はその土地とともにあるという「身土不二」の思想を大切にしている。だからこそ国産原料にこだわるのはもちろん、精油づくりにおいても耕作放棄地だった場所を畑にし、地元の人を積極的に雇用することでその土地の活性化にもつなげている。ハーブの生産、精油づくりは商品の品質や魅力を高めるだけでなく、地域への貢献という側面も持ち合わせているのだ。

しかし精油にするためのハーブを育てることは非常に手間がかかると言う。精油づくりには大量のハーブを必要とするからだ。

「現在販売しているフレグランス『エッセンシャルセンツ』は精油のみで香りを構築しています。例えばゼラニウムだと1kgあたり3gくらいの精油しか取れないので、広大な土地が必要になってくるんです」

ゼラニウム1.jpg
南阿蘇でつくったゼラニウムの精油には、他のゼラニウムと比べてリラックス効果が高いリナロールの成分が多く含まれているという。 ※THREE調べ

さらに精油づくりならではの苦労はまだあるという。

「ハーブは比較的収穫できる期間が長い植物ですが、例えばゼラニウムは7月や8月の暑い時期に香りが強くなるので、猛暑の中で収穫します。また、収穫したハーブは機械ではなく一つひとつ手作業でていねいに泥を落とし、24時間以内に蒸留しています。真夏に地べたにしゃがみながら手作業で収穫するのは大変ですが、その手間がクオリティの高い精油につながるんです」

519db17af292abb94c028f59bb1e47e26153bb05.jpeg
左から順に7種の「THREE エッセンシャルセンツ」。00 WRITTEN IN STONE、01 IN BLOOM、02 DAYS IN THE TREES、03 BLACKCURRANT BERET、04 SPIRIT OF EDEN、05 AFTER THE RAIN、06 TASTE THE AIR 各¥5,060〜5,390

このように多くの人の手作業を経て生まれる精油だが、なぜここまで手間のかかる精油にこだわるのだろうか。

「創業時から、心、からだ、肌を『三位一体』と捉え、全てがバランスよく満たされることが重要だと考えていました。一般的な化粧品は、肌への効果が期待できる化学的につくられた成分と香料などを組み合わせてつくりますが、精油は心、からだ、肌への複合的な効果が期待できます。だから精油にこだわり、特にフレグランスに欠かすことのできないリナロールをバランスよく含むゼラニウムに注目をしています」

ゼラニウムはTHREEのフレグランス『エッセンシャルセンツ』全種に配合されている「キー精油」でもあるハーブだ。ゼラニウムにはリラックス効果の高いリナロールという成分が含まれており、香水やルームフレグランスにもよく使われている。さらにバラの香りのするゲラニオール、レモンの香りのようなシトロネラールも含まれるなど、香りをつくる上でバランスがとれた植物だと言う。

---fadeinPager---

美容にとどまらない、精油の可能性 

AROMARIUM.jpg
ミッドタウン日比谷には、「AROMARIUM THREE(アロマリウム スリー)」という精油の研究や蒸留の様子などが見学できるオープンラボラトリーがあり、アロマパフューマーがブレンドを行ったり、さまざまな精油が体験できる。

化学物質に囲まれた生活が当たり前で、ストレスが溜まりがちな現代だからこそ、古来から活用されてきた植物の有用成分を豊富に含む精油が改めて見直されている。もともと美容やリラクゼーションのイメージが強い精油だが、いまではスポーツや医療、介護など、さまざまな分野でストレスフルな現代人にとって欠かせないものになると期待されている。

今後、柑橘系の精油を製造するためにフルーツガーデンを広島県尾道にも展開する予定で、さらに2025年7月頃には佐賀県呼子に体験型の精油蒸留所もオープンする。本物のものづくりを、その目で確かめてほしい。

【関連記事】日々のマインドに寄り添うTHREE エッセンシャルセンツを、モデルの安井達郎がレビュー

 

THREE

www.threecosmetics.com