かつて、イタリアのトリヴェロにある一つの織物工場から、世界的なラグジュアリーブランドへの壮大な歩みが始まった。1910年、わずか18歳のエルメネジルド・ゼニアは父から受け継いだウール工場の経営に着手。
その胸には「世界で最も美しいファブリックを作る」という揺るぎない信念が宿る。115年に渡るゼニアの探求心が生み出した、最高峰のウールを生み出す旅路を追っていこう。
神話の名を冠した、ゼニアを象徴する「ヴェリュス・オウレウム」

その探求心は1963年、オーストラリアでの「エルメネジルド・ゼニア・ウール・トロフィー・アワード」の創設という形で実を結んだ所から始まる。世界最高品質のウールを追い求める牧羊業者たちを支援するこの賞から、やがて「ゼニア」の象徴的な存在となる「ヴェリュス・オウレウム(VELLUS AUREUM)」が誕生した。
ラテン語で「金羊毛」を意味するヴェリュス・オウレウム。その名はギリシャ神話に登場する翼を持つ羊に由来する。神話の中で完璧さの象徴とされた金羊毛は、現代においてゼニアの卓越性への飽くなき探求精神そのものだ。2023年、ヴェリュス・オウレウムは衝撃的な9.4ミクロンという繊維の細さに到達。

この至高のウールは、丹念な選別から、最新技術による紡績、そしてイタリアの職人技による究極のファブリックへと、一歩一歩昇華されていく。最高級メリノウールが19.5ミクロン、それよりさらに細いカシミアでさえ14〜16ミクロン程度という事実から、その比類なき存在感が浮かび上がってくる。

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115年の歴史が紡ぎ出した、ゼニアのかけがえのない証
「ファッションはクリエイティビティと行動の両輪で成り立つ」。現アーティスティック・ディレクター、アレッサンドロ・サルトリの言葉には、伝統を超える意志が込められている。2025年冬コレクションでは、このプレミアムウールを纏った脱構築的なブレザーや、ウエストが伸縮するブルゾンなど、革新的なピースの数々が登場。115年の歴史は、新たな表現を得て進化を続けている。
エルメネジルドが蒔いた一粒の種は、時を経て世界最高峰のウールへと大きく育ち上がった。ヴェリュス・オウレウムこそ、ゼニアが115年以上にわたって追い求めてきた完璧への旅路を映し出す、かけがえのない証となっているのだ。

ゼニアは2025年の春夏のキャンペーンの中で「ヴェリュス・オウレウム」にスポットを当てる。その旅路の証人として、世界的に有名なウォッチコレクターであるアウロ・モンタナーリ(Auro Montanari)がキャンペーンキャラクターとして起用された。
ジョン・ゴールドバーガー(John Goldberger)としても知られる彼は、45年以上に渡り、希少な時計を集め、膨大な保管庫を築き上げてきた生ける伝説そのもの。彼の経験に裏付けられた日々の生活は、人生における本物のラグジュアリーとは何かについて深い思考を垣間見せてくれる。アウロは、ヴェルス・アウレウムの完璧への旅路を導いてくれる案内人だ。あなたにもぜひ、未来への夢とクラフトマンシップの融合を体現する姿をその目でみてほしい。
