34年にもわたる集大成を見届けたい。 DIC川村記念美術館、休館前最後の展示が開催中

  • 文:Pen編集部
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『DIC川村記念美術館 1990–2025 作品、建築、自然』のポスター。

1990年の開館から34年にもわたり、その建築美を活かしたさまざまな展示を行ってきたDIC川村記念美術館。休館を目前に行う最後のコレクション展示として『DIC川村記念美術館 1990–2025 作品、建築、自然』が3月31日まで開催中だ。今回のテーマは、同館が設立当初から大切にしてきたコンセプトである「作品・建築・自然の調和」だ。その集大成となるべく本展の見どころを紹介したい。

DIC川村記念美術館といえば、まず浮かぶのはその建築的な美しさだろう。それぞれ全く異なる意匠を持つ11の展示室をベースに設計されたこの建築は、個々の作品の存在を受け止め、鑑賞する個人との語らいが生まれるよう細部まで熟慮されてつくられている。たとえば、島々のように連なる展示室は、光のこぼれる窓がある廊下で結ばれている。屋外の自然を感じ、眼と心の休息を促すことで、次なる作品との出会いに気持ちを整えてくれる。今回は、企画展示室として使用している空間も含めた全館を使い、約180点と過去最多の作品を展示しているのが見逃せない。

美術館だけでなく、北総台地の自然と調和した庭園も魅力的だ。里山の地形を活かした緩やかな起伏のある敷地内には、穏やかな自然に包まれる6つの彫刻作品が凛と佇んでいる。その日の天気によって、作品の異なる表情を見られるのは、同館ならではの醍醐味だ。休館前最後の展示となる本展を機に、ぜひコレクションの鑑賞とともに、その建築と自然の美しさを体感してほしい。

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ムーア彫刻と広場。撮影:高橋マナミ
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印象派からエコール・ド・パリへ、101室の展示風景。
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版画、写真、ドローイングが展示されている110展示室。

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季節の移り変わりが感じられる、DIC川村記念美術館外観。撮影:渡邉修
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エントランスホール。撮影:渡邉修

『DIC川村記念美術館 1990–2025 作品、建築、自然』

開催時期:開催中~3月31日(月)
開催場所:DIC川村記念美術館
千葉県佐倉市坂戸631
開館時間:9時30分~17時 ※入館は16時30分まで
入館料:一般 ¥1,800
https://kawamura-museum.dic.co.jp