海辺の公園と一体となる、軒下テラスのある新店舗「ブルーボトルコーヒー 豊洲パークカフェ」【今月の建築ARCHITECTURE FILE #29】

  • 文:佐藤季代
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高層ビルが連なる豊洲駅からほど近い、豊洲公園内にカフェが立つ。ボリュームを分割し、店内と屋根のある半屋外テラスで構成されている。 photo: Takumi Ota

東京湾に面する自然豊かな豊洲公園。2024年8月、都市の憩いの場にブルーボトルコーヒー豊洲パークカフェが開業した。改装ではなく一から建築全体をオリジナルでデザインした、ブルーボトルコーヒーとしては初のカフェとなる。設計したのは長坂常が率いるスキーマ建築計画。これまでに、清澄白河フラッグシップカフェなどブルーボトルコーヒーのプロジェクトを多数手掛けてきた。今回は公園という立地において、“ボーダーレス”をコンセプトに設計。ベンチや芝生のある公園全体を大きな居場所と捉え、利用者が気軽に立ち寄れるよう、屋内外が一体となるような空間を目指した。

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温かみのある木造あらわしの空間をガラスの開口が取り囲む。視線をさえぎらないように工夫が凝らされ、公園越しに海辺の風景が見渡せる。 photo: Takumi Ota

 

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屋内外ともに木造の空間や公園の芝生と相性がよいレンガを使用。店外にもカウンターがあり、ペットの散歩中などでも気軽に注文できる。 photo: Takumi Ota

約300㎡のカフェを公園と調和するようにヒューマンスケールに分割し、店内と屋根をかけた木陰のような半屋外テラスで構成。建物だけでなく、店内の床に敷いたレンガをテラスまで延長させ、屋内外の境界を曖昧に見せている。さらに四方からアクセスしやすいようガラスの開口で取り囲み、建物上部は半透明のFRPで覆うことでやわらかな光で包まれた開放的な空間をつくり上げた。
 
64ある客席は、レンガ色に揃えたソファやラウンジチェアなどが用意され、それぞれの利用シーンに合わせて寛ぐことができる。海風を感じながらコーヒーを片手に、ここでしか味わえない新しい空間を体験したい。 

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家具もレンガに近い色を選び、内装の色数を絞った。FRPのテーブルやソファなど一部の家具はスキーマ建築計画のオリジナルデザイン。 photo: Takumi Ota

 

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建物上部は光を透過する半透明のFRPで覆い、昼と夜で多彩な表情を生み出す。内外に開いた開放的な建築が、公園と一体となって調和する。 photo: Takumi Ota

ブルーボトルコーヒー 豊洲パークカフェ

住所:東京都江東区豊洲 2-3-6 豊洲公園内
営業時間:8時~19時
定休日:無休
https://store.bluebottlecoffee.jp
【デザイン】スキーマ建築計画
代表の長坂常が、1998年に東京藝術大学を卒業後に設立。家具から建築、まちづくりまで幅広い分野を扱い、大小どのようなサイズでも常に1:1のスケールで対象と向き合うアプローチを得意とする。

※この記事はPen 2025年3月号より再編集した記事です。