阪神・淡路大震災の企画展から今津景の国内初の大規模個展まで【今月の展覧会2選】

  • 文:住吉智恵(アートプロデューサー)
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「復興」を象徴する地に集い、希望の出発点を見出す試み

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参考:國府理『國府理 水中エンジンredux』(後期展) 2017年 アートスペース虹の展示風景 photo: Tomas Svab

2002年に震災復興の文化的シンボルとして開館した美術館で、復興30年の節目に開催される自主企画展。参加アーティストは、束芋、米田知子、やなぎみわ、森山未來といった兵庫ゆかりの作家たちと、梅田哲也、田村友一郎、そして2014年作品点検中の事故により早逝した國府理の7名だ。自然災害や紛争に見舞われ、明るい未来を展望し難い状況であればこそ、この時代を生きる(た)者たちがともに芸術の場に集い、「希望」の出発点を見出そうと試みる。いまこそ鑑賞したい展示だ。

『阪神・淡路大震災30年 企画展 1995 ⇄ 2025 30年目のわたしたち』

開催期間:~3/9
会場:兵庫県立美術館
TEL:078-262-1011
開館時間:10時~18時 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(2/24は開館)、2/25
料金:一般¥1,600
www.artm.pref.hyogo.jp

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圧倒的なイメージで表現する、ふたつの故郷で得た経験と思考

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『Memories of the Land/Body』 2020年 油彩、キャンバス 300×600cm タグチアートコレクション coutesy of The Artist and ANOMALY photo: Keizo Kioku

インターネットやデジタルアーカイブから採取した画像に加工を施し、構成した下図をもとに、油彩で描いた壮大な絵画が注目される今津景の国内初の大規模個展。本展では現在生活するインドネシアと自身のルーツである日本での経験と思考に基づき、歴史や神話、近年の都市開発や環境問題などをめぐるイメージを配置した大作の数々を発表。ゼひ会場に足を運び、膨大なイメージや情報を血肉とした表現によって生み出されるダイナミックな絵画に圧倒されてほしい。

『今津景 タナ・アイル』

開催期間:~3/23
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:11時~19時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(2/24は開館)、2/9、25
料金:一般¥1,400
www.operacity.jp/ag

※この記事はPen 2025年3月号より再編集した記事です。