ビームスジャパンの鈴木修司です。今月の旅は新潟県ですが、その中でも日本随一の金属加工品の産地である“燕”と“三条”、そして日本の伝統的な家具“桐箪笥”の産地である“加茂”です。
1. 爪切りで世界に名高い“諏訪田製作所”
まず訪れたのは三条にある“ニッパー型爪切り”で世界的に知られる“諏訪田製作所”さん。新幹線の燕三条駅に到着してまもなく担当者の方と合流して、現地に着くまでに話をしました。雪の合間に雷鳴も聞こえる荒れた天気でしたが、「日本海らしい曇天は、風情があって良いですね」と尋ねたら、「さすがに毎日だと堪えますよ、雪が降らず晴れるに越したことはないです」。比較的温暖な地域で生まれ育った私には、雪国らしい天候や景色は喜ばしいことですが、地元の方々にはそうではないと実感。ここ最近の日本各地の大雪報道を見ていても、のんきな自分を反省している次第です。
そうこうしているうちに、工場であり事務所、そしてショップとカフェを兼ね備えた諏訪田製作所さんの社屋に到着です。これまで何度か訪問していたのですが、なんと場所も建物も一新されていました。以前も十分に見応えのある場所でしたが、工場見学などのサービスが更に充実し、訪問客だけではなく地元民がくつろげるカフェまで併設されています。私はみっちりと商談があるのでバタバタの見学でしたが、皆様にはゆっくり時間を取って訪れることをオススメいたします。
それと、某TV局の専門番組でも取り上げらたという社食(渋い声のナレーションが聞こえてきそうな)でハイレベルなランチを頂きましたが、社員の方々を恨めしく思うほどに美味しく素敵な空間でした(一般客は入れないですが、私は役得です)。
ちなみに、ショップでは巷で手に入りにくい製品もひと通り販売され、中には完品と見紛うほどのサービス品もありますし、地元新潟県の特産品まで品揃えされているので、訪れる価値は十分です。
2. 桐箪笥づくりで知られる“加茂”
その後も燕と三条でいくつかの商談を終え、日暮れ前になんとか加茂に到着しました。加茂に限らずですが、桐箪笥の産地では屋外に桐材を干してある風景を目にします。雪の中に佇む桐材はとても風情があって、大切に丁寧に製作されていることが伺い知れます。それを見たさに、日没までに辿り着きたかったのです。
伺ったのは“桐の蔵”さんですが、初めての訪問だったので実は少し構えていました。しかし、代表の桑原さんとお話が始まると、すぐにうち解けて、早速、具体的な商品の相談となりました。その話をすると長くなるので置いておくとして、私が説明するまでもなく“桐箪笥”は日本の伝統的な服飾文化や住環境を語る上で非常に重要ですし、何よりも高度な製作技術を要するもので、日本の宝と言っても過言ではないでしょう。最近では販売されているお店も限られますが、少しでも気になる方は機会を作って、桐箪笥を直に触って見て頂ければと思います。
3. ミートソースのかかった焼きそば“イタリアン”
そして、長くも充実した新潟の一日を終え、山形県に入る次の日に備えて軽めの晩酌です。と言いつつ、新潟の美味しい地酒に誘惑されて、そこそこの長い夜となったのでした。そのアテといえば、日本海の海の幸はもちろんですが、新潟ならではの品々です。“半身揚げ”と呼ばれるカレー風味の鶏の素揚げは大好物ですし、“イタリアン”と呼ばれるミートソースが掛かったヤキソバも癖になる美味さです。ぜひ新潟に行かれた際は、試してみてください。
足早に新潟県の名産品と名物を堪能した二日間でしたが、さらに雪深い内陸の湯沢や魚沼、富山と県境の南の方(糸魚川)、それに佐渡島、もちろん中心である新潟市内と、訪れるべき場所はまだまだ沢山もあり、細長いが故に地域性豊かな新潟の魅力の一部に触れただけです。季節を変えた再訪を誓って、そのあとは北上、山形と秋田へと旅は続きます。
BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター鈴木修司が日本の魅力を紹介!
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BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター
1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。
1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。