「乗車拒否は差別」体重220キロ超えの女性ラッパーが、配車サービス会社を訴える

  • 文:山川真智子
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shutterstock_2478536627.jpgSergo Jaxua-Shutterstock ※画像はイメージです

アメリカの女性ラッパーが、体格を理由に乗車拒否されたとして、配車サービスの運転手とのやり取りを撮影した動画をソーシャルメディアに投稿した。ラッパーは乗車拒否の理由は差別に当たると主張。さらに違法な嫌がらせを受けたことで傷ついたとし、配車サービスを行う企業と運転手を訴えた。

大きすぎる…突然の乗車拒否 

差別を主張しているのは、自らをプラスサイズと称するデトロイトのラッパー、ダンク・デモスさんだ。IBタイムズ紙によれば、体重は約500ポンド(約227キロ)だという。

 USAトゥデイ紙が閲覧した訴状によれば、デモスさんは1月18日にいとこの家でのフットボール観戦パーティに向かうため、自宅から配車サービスLyftで車を予約し、料金を支払ったという。

 車はベンツのセダンで、10~15分後に到着した。デモスさんが乗車しようとしたところ、運転手から「大きすぎて」後部座席に乗れないので、予約をキャンセルすると告げられたという。デモスさんの説得にも関わらず、運転手は走り去ったということだ。

 訴状には、運転手の行動は意図的で、デモスさんの“権利と感情”を無視したものだと記されている。法律上、体重を理由に送迎を拒否するのは、人種や宗教を理由に拒否するのと同じだとし、いかなる差別も容認されるべきではないと訴えている。

傷ついた…インスタで事件を報告

そもそもこの事件が注目を浴びたのは、デモスさんが運転手とのやり取りをインスタグラムに投稿したためだ。投稿された動画では、乗れるというデモスさんに対し、運転手は以前にも同様のケースに遭遇したと述べ、彼女の体重をタイヤがささえきれないと主張していた。最終的に、運転手はXLサイズの車を予約するようにとデモスさんにアドバイス。料金も返金するとし、繰り返し謝罪して乗車を断っていた。

 USAトゥデイ紙によれば、デモスさんはメディアの取材に答えており、この出来事で、「傷つき恥ずかしかった」と話した。同じタイプの車に何度も乗ったが問題はなかったとも語っており、動画を投稿した理由は、彼女の経験したような差別に対する認識を深めるためだったとも付け加えた。

Lyft側はサポートを約束 コメント欄は厳しめ?

訴えられた側のLyftは、訴訟に関わる具体的な事件へのコメントはできないとしたが、「あらゆる形態の差別を非難する」と声明を発表。誰もが平等の敬意と相互の親切心を持って扱われるべきとし、デモスさんのインスタグラムの投稿にも「さらなるサポートのために連絡をいただきたい。すぐに対応します」とコメントした。

デモスさんの投稿には3000以上のコメントが付き、様々な反応があった。「同様の経験をした」などデモスさんを支持する声が寄せられた一方で、「最初から大型車を頼むべきだった」「安全のため運転手には拒否する権利がある」「運転手は差別しているようには聞こえなかった。あなたの自尊心が傷つけられたから復讐したかっただけだろう」などの厳しいコメントも多々あり、物議を醸す事件となっている。

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自称プラスサイズ・ラッパーのデモスさん。

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 運転手とのやり取りが分かる動画。

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デモスさんの主張に辛辣な音楽プロデューサーの投稿。このサイズで運転手を責めることはできないとしている。