金沢21世紀美術館のモダンな新ユニフォームは、パリコレでも活躍するCFCLのデザイン

  • 文:一史
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金沢21世紀美術館の20周年を迎えた新ユニフォーム。2025年2月1日(土)よりスタッフの着用がスタート。

ユニフォームは空間演出の重要なパーツである。カフェ、レストラン、空港、商業施設、公共施設といった大勢の人が集まる社会性のある場所ではより大きな役割を果たす。立派な建物のなかで働くスタッフの服装は場に見合うクオリティの高いものが望ましい。空間の印象とリンクするデザインが理想的だろう。
このたび金沢21世紀美術館が、受付・監視スタッフのユニフォームを刷新した。パリ・ファッション・ウィークに参加してショー形式でコレクションを発表するCFCLがデザインを担当。かつてイッセイ ミヤケ メンを手掛けていた高橋悠介デザイナーが独立して立ち上げたモードブランドだ。21年春夏からスタートの新鋭ながら、早々にパリ進出して世界的な知名度を獲得。東京・表参道GYREや東京ミッドタウン八重洲などに直営店を構える。

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大きく空気をはらむビッグTシャツは夏用のユニフォーム。便利な巾着型サコッシュも付属。

CFCLのアイコニックな服はニットウェアである。現代人の生活に合う、快適でイージーケアのアイテム。化繊素材を用いたクールな仕立てにより、ほっこりとした従来のニットのイメージを変革。身体と服の間に隙間をはらむ立体的なシルエットが、ゆったりファッションの時代ともマッチしてファンを急増させた。

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グラフィカルに色と図案が配置されたデザイン。ボーダーは水平ガラスをイメージしたもので、オレンジは金沢21世紀美術館のアイコンカラーを建物を支える柱に見立てたもの。遠くからの視認性のよさも計算されている。

そんなCFCLの世界観と、モダンな金沢21世紀美術館とは相性が抜群のようだ。生地は同ブランドらしいクリーンな風合いで、配色はグラフィカル。ガラス張りの館内に映えてスタイリッシュだ。
仕事着としての機能が充実している点も見逃せない。身体を動かしやすくシワになりにくく実用的。コートには大ポケットがありモバイル機器を持ち歩ける。服と同素材のサコッシュも用意され、ポケットがない夏用ユニフォームをサポート。働く人に優しい仕様になっている。

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性別や体型を問わないシルエットが考えられた。コートからはクラシカルな作業員のユニフォームの伝統が垣間見られる。

今回のユニフォームの優しさは、地球環境にも向けられている。CFCLは日本のアパレルで初めてB Corp認証を受けたブランド。金沢21世紀美術館のユニフォームも「地球環境や基本的人権への責任が第三者機関より認証された素材」が使われている。なお生産はすべて日本国内である。
ファッションデザイナーによる美術館ユニフォームでは、21年のマメ クロゴウチの黒河内真衣子デザイナーによる長野県立美術館のユニフォームが記憶に新しい。CFCLの高橋デザイナーも黒河内デザイナーも、独自のモードで世界に挑む現代日本のトップクラスの実力者たち。彼らのように社会と深く関わるデザイナーの手によって、世の中の美的なカルチャーが進展していく。

金沢21世紀美術館

www.kanazawa21.jp

CFCL

https://cfcl.jp

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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