タンパク質からなるプロテイン繊維が、ファッションの未来を切り拓こうとしている。
1998年にイッセイ ミヤケが発表したエイポック(A-POC)の革新性を受け継ぎ、その可能性をさらに推し進める「エイポック エイブル イッセイ ミヤケ(A-POC ABLE ISSEY MIYAKE)」。同ブランドが、バイオテクノロジーのベンチャー企業と協業したプロジェクト「TYPE-XI Spiber project」を始動した。その第一弾として発表されたのが、タンパク質から生まれた新素材を配合した究極のサステイナブルパンツだ。
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このプロジェクトの核となる新素材「ブリュード・プロテイン™ファイバー」は、現代の錬金術とも言えるテクノロジーから誕生した。山形県鶴岡市に本社を構えるSpiber社が、植物由来の原料を独自の微生物発酵技術で人工タンパク質へと変換し、それを繊維化。これにより、天然繊維や合成繊維では実現できなかった、環境負荷を最小限に抑えた量産化が可能となった。カシミヤやウールと比べて、土地や水の使用量を大幅に削減し、環境分解性も備えている。
実験室から生まれたこの未知なる素材を、エイポック エイブルはどのように活かしたのか。答えは、植物由来のポリエステルと混紡し、二種の糸の縮率差を活かしたスチームストレッチ技法による独創的なストライプ柄にある。染色を一切施さない素材本来の色味も相まって、素材そのものが織りなす自然な表情を引き出すことに成功。バイオテクノロジーと服づくりの技術が交差するこのプロジェクトの第一弾として、5ポケット型のストレートパンツという普遍的なデザインに落とし込み、ブリュード・プロテイン™ファイバーを50%以上配合することで、環境負荷を抑えながら柔らかな着心地も実現した。
約2年前から開発を始めたと語るSpiber代表の関山和秀は、この実験的な試みに手応えを感じており、「エイポック エイブルのチームだからこそ成し得る、精緻な生地開発やデザイン、そして素晴らしい製品として形にしてくださったその道のりは、私たちにとっても大きな学びとなりました」と振り返る。
服づくりとバイオテクノロジーの先端を行く両社の対話を記録した「DIALOGUES」シリーズ(「episode 3 」と「episode 4」)がブランドページで公開されているが、そこには単なるファッションとテクノロジーの融合を超えた、人類の服づくりの歴史における新たな実験の始まりが記されている。タンパク質を自在にデザインし、未来の衣服を創造する。その革命的な挑戦は、まだ序章に過ぎないのかもしれない。
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サイズ01、02、03の展開で、カラーはナチュラルカラーのみ。A-POC ABLE ISSEY MIYAKE 青山店および京都店、ISSEY MIYAKE GINZA / 442、ISSEY MIYAKE 丸の内店で販売中。パンツ¥77,000 ©︎ ISSEY MIYAKE INC.
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