Pen3月号『2025年に見るべき現代アート』の表紙を飾る絵画を手掛けたのは、1997年生まれの山田康平。彼が描く奥行きのある抽象的な絵画空間には、見る者の想像力を掻き立て、惹きつける力がある。学生時代から多数の展覧会や受賞を重ね、今年もさらなる飛躍が期待される山田に話を訊いた。
現代アートのシーンで、次世代の作家たちが面白い。新時代のアーティスト38名の紹介に加え、足を運ぶべき展覧会やアートフェア、さらに現代アートを楽しむための基礎知識まで話題を広げた、ガイドとなるような一冊。2025年は、現代アートに注目せよ!
『2025年に見るべき現代アート』
Pen 2025年3月号 ¥880(税込)
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絵を描き始めたころから、描きたい対象やイメージに似せようと考えたことはなかったと語る山田。高校生の頃から、線や面が絵の中でどういう効果を発揮するのか。またそれによって、絵がどのように成立するかということに興味を抱き、それが絵を描く原動力になっていたという。そうして、流動性が生まれるようにキャンバスにオイルを垂らし、画面の左上からレモンイエローの絵具を載せるという、彼独自の制作プロセスが生まれた。
「古典絵画の多くは、光の設定を重視して画面が描かれていたと知り、自分の絵も同じところを目指していると思うようになりました。あくまでもルーティンですが、その作業から始まり、色を載せ、絵具のにじみや混ざりも取り入れながら描きます」
色を重ねていくと、画面には多少なりとも濁りが生まれてくる。それが乾いたあとにどのような色を載せるか。あるいは乾く前にどこを拭き取るか。画面との距離を測りながらセッションするように、描くうちに生まれる画面に自分がどうリアクションするか。そのプロセスを経て、絵が出来上がっていく。筆致は極力消し去り、フラットな画面でありながら、色とかたちのレイヤーによって奥行きが生まれる。
「レイヤーによって画面をのぞき込めるような感覚が生まれると思っていて、その効果に期待しています。レイヤーを考えながら、表面の絵具の厚みのようなものは出ないように気をつけています。ですが、“厚みのある色”というのはあると思っていて、その色によって絵が世界のなにかと関係してくるような意識があります」
絵の中に仮想の世界があったとして、それが現実世界の光や自然の風景と切り離されずにつながった世界。線と面で構成された抽象的な画面を生み出す山田康平の絵画作品には、そうした“リアリティ”がある。油彩を中心に、紙を支持体とする作品や彫刻作品、建築家とのコラボレーションなども計画する山田の、表現の向かう先を追い続けたい。
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