伝説の"ジェンタモデル"がレギュラー化! クレドールの新「ロコモティブ」に込められたデザイン哲学を紐解く

  • 写真:宇田川 淳
  • 文:並木浩一
Share:
5月23日に発売予定のクレドール「ロコモティブ」。

1974年にセイコーの"特選腕時計"として誕生し、日本の美意識と匠の技を究め続けてきた日本発のドレスウオッチブランド、クレドールから待望の新作が2025年登場する。昨年、クレドールの50周年を記念したリミテッド・エディションとして発表され、世界中の話題を集めた「ロコモティブ」のレギュラーモデルだ。不世出の巨匠、ジェラルド・ジェンタとセイコーが交感した傑作は、クレドールの品格を象徴する腕時計である。

"時計界のピカソ"が手掛けた、六角形の傑作デザイン

今回発表されたクレドールの新作「ロコモティブ」は、世界を驚かせた昨年の限定モデルの熱狂を継承するレギュラーモデルだ。

20250124_Pen-online1002-8.jpg
ロコモティブ /自動巻き(手巻き付き)、ブライトチタンケース&ブレスレット、ケース径38.8㎜、パワーリザーブ約45時間、10気圧防水。¥1,870,000

ここ数年、再評価の著しい天才時計デザイナーである故ジェラルド・ジェンタによる1979年の傑作が、現代の技術によってリマスターされた。今回の新作はケースフォルムと同様に六角形のパターンを敷き詰めた、グリーンのダイヤルで装いを新たにした。六角形のパターンは方向の異なる筋目を交互に繰り返し、絶妙な明滅で反射するユニークなダイヤルだ。

プロフィール画像.jpg
03-Montres-Fred-and-Seiko-01---crop.jpg
左:腕時計のデザイン史において最大級の評価を受けるジェラルド・ジェンタ(1931-2011)。現在もベストセラーを続ける各ブランドの名作ウォッチの数々、個人の名を冠したブランドでも不滅の名声を持つ。 右:ジェンタ自身が描いたオリジナルのデザインスケッチのコンセプトは、今回の新作でも最大限に尊重された。

ジェラルド・ジェンタの不滅の名声の源泉は、デザインごとにまったく違うキーフォルムを設定し、その腕時計の強固なアイデンティティとしたことだ。異色の六角形ケースで登場した79年のオリジナルはクレドールブランドの傑作として、腕時計ファンを魅了した。「ロコモティブ」(Locomotive)の名は、実はジェンタ自身が命名。自ら名付け親となった例はほとんどないと言われる。

「Locomotive」という言葉には牽引するものという意味がある。ジェンタは「クレドールを牽引し、未来を担うモデルになってほしい」との願いを込めたのだと言う。新作はその歴史と財産を継承するものだ。オリジナルはクオーツムーブメントを搭載したスリムなシルエットであったが、今回は薄型3針メカニカルムーブメントを搭載しながら、ケース厚8.9㎜のエレガントなフォルムを実現している。素材もステンレス・スチールから、独自素材であるブライトチタンへと変更された。

「ロコモティブ」の詳細はこちら

---fadeinPager---

こだわり抜かれたディテールの数々

多角形使いには天才的な冴えを見せたジェンタが「ロコモティブ」でフィーチャーしたのは、六角形の形象である。昨年の限定モデルから始まった新作では、オリジナルのデザインスケッチからジェンタの意図を抽出し、当時実現できなかった部分も含め、最新かつクレドール最高の技術を用いて具現化した。

ベゼルとケースは鏡面と筋目を切り替え、絶妙な磨き分けで仕上げられている。なんとベゼル上面・斜面・側面・ケース斜面・側面と、5連続で鏡面と筋目を切り替える凝りに凝ったものだ。

20250124_Pen-online1014-2.jpg
美しいカーブで構成されている六角形のケースは、サイドにはっきりとした磨き分けを行うことでフォルムの存在感を立ち上がらせている。リューズとネジにも六角形を取り入れた。

研磨だけで明快なツートーンを描きだすそのハイレベルの技巧が、六角形のフォルムを際立たせた。特別なレンチでしか調整できないベゼルを留めるネジの窪みや、リューズにも六角形を潜ませている。前衛的で多彩なデザインから「時計界のピカソ」とまで称された才能が、あらゆるディテールに反映されているのがわかる。

腕時計本体のデザインの秀逸さもさることながら、見逃せないのがブレスレットだ。ブライトチタンは、軽量で強靭かつ仕上がりの美しいマテリアルである。シルエットの特徴は、 ケースからバックル側へゆるやかに続くテーパードスタイル。見た目にもなめらかなその形状は、ここでも六角形を縦に伸ばした2列の中駒でリンクをつなげるアイコニックなものだ。

20250124_Pen-online1023-5.jpg

ブレスレットはすべて手作業による筋目仕上げと鏡面仕上げが施されている。すべての外駒と中駒の一部のエッジは面取りされて磨き上げられている。

そして、快適な装着感。手首を這うエルゴノミックなしなやかさは、クレドールの高度な技術の賜物だ。一方で高い耐久性も誇る。それぞれの駒は一つひとつ熟練の職人の手で、緻密なヘアライン仕上げと鏡面仕上げが施されている。

「ロコモティブ」の詳細はこちら

---fadeinPager---

技術の進化によって、理想の美観を実現

20250124_Pen-online1090-8.jpg
異なる表面の六角形が交錯するダイヤルパターン。入射光を絶妙なニュアンスの明滅で返す。

新作の大きな特徴であるグリーンカラーのダイヤルには、六角形パターンが施されている。方向の異なる筋目を施した六角形を交互に配置したことで、光の入り具合によってダイヤルはランダムに明滅し、繊細なグリーンの色相を移ろわせる。インデックスはジェンタのデザイン画通りに、12時だけが2本で配されている。

最新の技術が導入されたケース構造では、ベゼルのネジが単なる飾りではなく、機能ネジに進化したことも注目だ。上下で対になる6セットのネジでケースを挟み込む構造によりメンテナンス性も向上、防水性能も10気圧を達成している。ブレスレットとつながるカン部分を裏蓋と一体化することでケース側面までヘアラインを施すこともできるので、美観はより完璧になった。ベゼル上のブライトチタン製ネジは、六角形の向きがすべて美しく揃ってもいる。

20250124_Pen-online1038-1-2.jpg
20250124_Pen-online1036-1-2_2.jpg
左:ねじ込み式のケースバックを排したため、カンを裏蓋に一体化することも可能に。 右:ベゼル上のネジとケースバックのネジが対となってケースを挟み込む構造に進化した。

腕時計のデザインで不滅の業績を遺したジェラルド・ジェンタの傑作を、単なるレプリカではなく、最先端の技術と美的技巧を駆使してリマスターした「ロコモティブ」。国境を越えて世界的に評価されるに値する話題作であり、クレドールの自信作だ。

その腕時計の全体像には、視覚的な美しさからくる心が奪われるような高揚感、肌と接した触感からはきめ細やかな配慮が伝わってくる。新生「ロコモティブ」は、もう二度と現れない巨匠の魂を宿すとともに、時代に合ったドレスウォッチを考え抜いてきたクレドールの未来への提案なのである。

「ロコモティブ」の詳細はこちら

クレドール専用ダイヤル

TEL:0120-302-617
www.credor.com