かつてタグ・ホイヤー ジャパンで指揮を取っていた、アントワーヌ・パンが本国のCEOに就任した。ブランドの変革期を知る男が再び時計界を駆け抜ける。
LVMHウォッチ部門CEOのフレデリック・アルノー、ウブロCEOのジュリアン・トルナーレら実力あるリーダーの後を継ぎ、タグ・ホイヤーを率いることになったアントワーヌ・パン。プレッシャーはあるか、と訊ねると「タグ・ホイヤーでのプレッシャーはプレジャー(喜び)ですから」と笑う。
アクティブでパワフルなスタイルは、かつて日本支社の責任者を務めていた頃と変わらない。当時「キャリバー1887」をはじめ、「V4」「マイクロタイマー」「マイクログラフ」といった自社ムーブメントを発表し、ブランドは大きな変革を果たした。
「いまもエキサイティングな経験が忘れられません。タグ・ホイヤーはデザインこそ革新的でも技術に注目されていませんでしたが、そのイメージを一新し、本来の力を発揮できたのです。現在はムーブメント、ケース、ダイヤルそれぞれの生産拠点に加え、“タグラボ”と呼ぶ研究所もあります。そこから、みなさんに驚きを発信したいと思っています。ワクワクする興奮や情熱はラグジュアリーに欠かせない要素ですからね」
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モータースポーツとのさらなる結びつきを期待させる新生「フォーミュラ1」
近いタイミングでアッと驚くようなキャリバーを発表しますよ、と期待を抱かせる。そんなブランドの進化を強く印象づける第一弾が「フォーミュラ1」だ。
「まず考えたのは基本に立ち返ること。その上でパラダイムシフトを目指しました。『フォーミュラ1』はエントリーモデルとして位置付けていた分、妥協点もありました。しかし今後は各コレクションをポートフォリオのように捉えるのをやめます。『フォーミュラ1』は、エクストリームスポーツであり、テクノロジーの粋を極めるという原点に戻ったのです」
ケースはシャープな面で構成され、素材には軽量かつ堅牢性にも優れたチタンを採用する。ブレーキディスクをモチーフにしたベゼルとケースとの間には別体のカラーリングを設け、クロノグラフ針などと統一したアクセントカラーが精悍さを演出している。
「特にフィット感や視認性を追求し、エルゴノミクスにもとづいてラバーストラップやスケルトン針を採用しました。人間工学の重要性はF1ドライバーも同じで、それが最適化されなければ極限のドライビングに集中できません。そうした機能性においても『フォーミュラ1』はレーシングマシンのダッシュボードと同じなのです」
F1はアメリカをはじめ、世界的ブームになっている。LVMHが10年間のグローバルパートナーシップを結び、タグ・ホイヤーがオフィシャルタイムキーパーを務めることも決定。「フォーミュラ1」こそグループが挑むモータースポーツの最高峰への尖兵であり、タグ・ホイヤーのプレゼンスもさらに増すのだ。
LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー
TEL:03-5635-7030
www.tagheuer.com