東京・有楽町駅前のSusHi Tech Square(スシ・テック・スクエア)1Fにて開催中の『Alternative Living 展』。未来の東京の暮らしの可能性を探るべく、9組のクリエイターらがさまざまなメディアアートやテクノロジーを紹介している。その見どころとは?
「壁のないリビングルーム」が展開! 新たな空間で体感できるテクノロジー
まず『Alternative Living 展』のゾーニングを担当した山田紗子の《透壁》に着目したい。山田は通常、建築資材として壁の中に埋め込まれる軽鉄を、あえて露出させて展示空間をゆるやかに設定。さらに吹付でグラデーションを施しつつ、LEDライトによって空間全体にリズムと彩りを与えている。一般的にアート展といえば白い壁に囲まれたホワイトキューブで行われることが多い中、外と内の境界が溶け出すシームレスのような空間を生み出すことで、「壁のないリビングルーム」を構築することに成功している。やわらかい境界が作りだすショールームのような部屋を歩きながら、テクノロジー展示を体験できるのも大きな魅力といえる。
家具のようで家具ではない? セラピーロボット《Qoobo(クーボ)》も登場!
家具のように見えるものの、実際には家具として使うことのできない不思議なオブジェとは…?小林椋の手がける《この囲いの戸(木の島)で組む島》が見逃せない。小林はリビングルームのどこかで見たことあるような家具を、ユーモラスで活気に満ちた踊る存在として再構築。家具や家電が持ち得た必然的な形を解放し、目的のない動く装置として新たな役割を与えている。またユカイ工学株式会社は、しっぽのついたクッション型のセラピーロボット《Qoobo(クーボ)》を出展。2018年から発売され、すでに5万匹が出回るほど人気を集めているが、ソファに座りながら優しくなでなでしていると喜ぶような仕草を見せるから、かわいらしく癒やされると言うほかない。---fadeinPager---
液晶ディスプレイに単管が貫通! いままで誰も見たことのないテレビとは…
普段、何気なく目にする液晶ディスプレイを用いた、Houxo Queの《Death by proxy #3》のユニークな造形にあっと驚いてしまう。「人は映像として表示されているコンテンツを見ているが、テレビというものを見ている意識がない」と指摘するHouxoは、液晶ディスプレイに単管を貫通させ、ディスプレイの物質性を強く意識させるオブジェを展示。バックライトのみが光るディスプレイの痛々しい姿を、テレビそのものの実在を浮かび上がらせるようにして提示している。このほか「雲(クラウド)がリビングに降ってきた」として、河野未彩による音と照明による二つの作品や、LEDキューブの上にデジタルで水鏡を表現した落合陽一の《ヌル鏡止水》も時間を忘れて見入ってしまう。
入場も無料。 Alternative Livingだけのオリジナルな家具を作る体験型展示も!
「Our Alternative Living」と題し、色々な模様をしたブロックを3D空間上に配置して、オリジナルな家具を作る体験型展示にもチャレンジできる『Alternative Living 展』。オープンスペースだけに出入りも自由、入場も無料で誰もが気軽に楽しめるような内容だ。また展示や作品に疑問が出てきたら、常駐するアートコミュニケーターに尋ねるのもOK。さらにサウンドアーティストのevalaが、部屋全体をミストで覆うような音響を手がけるなど、見て、時に触れるだけでなく、耳を澄ませて音に没入するのもいい。クリエイターのアイデアが詰まった近未来的な空間を体感しながら、豊かな暮らしのきっかけになるヒントを探したい。
『Alternative Living 展』
開催場所:SusHi Tech Square 1F Space
●東京都千代田区丸の内3-8-3(東京交通会館向かい))
開催期間:開催中〜2025年3月23日(日)
https://sushitech-real.metro.tokyo.lg.jp/alternativeliving/