この電気自動車、スーパーキュート! ヒョンデのスモールEV「インスター」がついに日本導入

  • 文:小川フミオ
  • 写真:ヒョンデ・モビリティジャパン
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INSTER-06のコピー.jpg外寸は軽自動車とあまり変わらないが、室内空間の広さと走りのスムーズさは別もの。丸型LEDランプがなんともキュートだ。

ヒョンデが手掛ける「インスター」から目が離せそうにない。2024年に発表され、25年1月に早くも日本での先行予約がスタートした。グッドデザインのボディと、市街地で扱いやすいスモールサイズも特徴的なピュアEVだ。

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太いピラーが堅牢さを、ブリスター的なフェンダーが力強さを感じさせる。

「インスター」は“電動化時代における理想的な次世代モビリティ”と謳われるスモールEV。全長は3,830mで日本の軽自動車とほぼ同じ。ただしホイールベースは2,580mmと長く、電気自動車の強みを活かして室内空間はかなり余裕がある。

魅力的なのはデザインだ。全幅が1,610mmに抑えられていて、太いBピラーで堅牢さを印象づけ、張り出すような前後のフェンダーで力強さを強調している。そしてなにより、フロントの大きな丸型LEDランプが、他はにないキュートなイメージをつくりだしている。

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デジタル化の進んだコクピットと広々とした足もと空間が特徴的。
INSTER-30のコピー.jpg通常はメーターとして機能しているがウインカーを出すと後方の死角が円のなかに映し出されるブラインドスポットビューモニター採用。

機能面では、室内空間の使い方が上手い。先に日本で販売されている「アイオニック 5」と同様、シートのアレンジがかなり巧妙だ。フロントシートは、シフターがコラムに移されることでベンチタイプとなり、フルフォルディング機能でベッドとしても使える。リアシートは、バックレストがリクラインすることに加え、前後スライド機構も持つ。

INSTER-40のコピー.jpg前席は左右中央のアームレストの使い方でベンチタイプにもなる。
INSTER-41のコピー.jpg後席シートは左右個別に前後スライドが可能。

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このクルマは、25年1月10日に「東京オートサロン2025」でお披露目された。ヒョンデ・モーター・カンパニーから来日したジョン・ユソク副社長は、意気込みをこう語る。

「新しいバリューを届けるのが私たちの使命であり、日本でも(導入済みの)アイオニック 5、コナ、アイオニック 5 N、そしてインスターの4台でカーボンニュートラル社会に貢献したいと思っています」

フォトセッションのコピー.JPGヒョンデ・モーター・カンパニーのジョン副社長(右)とヒョンデ・モビリティジャパンの七五三木(しめぎ)敏幸代表取締役社長。

日本に導入するにあたって、ローカライズするための調整も行われているという。例えばサスペンションの設定は、乗り心地の快適性を追求。荒れていたり段差のある首都高の路面なども走り込んで調整したそうだ。

日本では、「カジュアル」「ボヤージ」「ラウンジ」そして、今後展開される予定の「クロス」という4つのグレードを用意。

カジュアルには42kWhのバッテリーが、ほかの2グレードには49kWhの容量を持つバッテリーが搭載される。一充電あたりの走行距離は、大きなバッテリーのほうは370kmだ(欧州のWLTP。日本では申請中)。

RKYS4866.JPGヒョンデのBEVに共通する「ピクセルデザイン」で仕上げられたリアコンビネーションランプも特徴的。

グレードによって装備に少しずつ違いがあるが、下記の運転支援システムは全グレード共通となる。

「車両・歩行者・自転車搭乗者との前方衝突アシスト」
「レーンキーピングアシスト」
「レーンフォローイングアシスト」
「パーキングディスタンスワーニング」
「ペダル踏み間違いセーフティアシスト」
「安全降車ワーニング」
「クルーズコントロール」

さらにボヤージとラウンジには、下記が追加される。

「ナビゲーションベーススマートコントロール」
「高速道路ドライビングアシスト」
「交差路対向車をふくむ前方衝突防止アシスト」
「ブラインドスポットコリジョンアボイダンスアシスト」
「リアクロストラフィックコリジョンアボイダンスアシスト」
「後方駐車衝突防止アシスト」
「ブラインドスポットビューモニター」
「サラウンドビューモニター」
「防眩機能付インナーミラー」
「レインセンサー付フロントワイパー」

INSTER-18(V2L)のコピー.jpgCHAdeMO対応の充電システム。

EVとしての機能では、「V2H(ビークルトゥホーム)」と「V2L(ビークルトゥロード)」は全グレード共通。さらに効率よく暖房が使える「ヒートポンプシステム」はボヤージとラウンジに、200ボルト充電ケーブルはラウンジのみの装備だ。

なお日本での価格は、下記のとおり。

「インスター・カジュアル」¥2,849,000
「インスター・ボヤージ」¥3,355,000
「インスター・ラウンジ」¥3,575,000

RKYS4905.JPG「インスター・クロス」をベースにカスタマイズした「ターマック」も出展された。

ちなみに、韓国(だけ)では「キャスパー」の名で売られている。私はソウルで初めてこのクルマを見たとき、デザインとネーミングがぴったりマッチしていると感心したものだ。その後、韓国で見掛けるたび、「あのヒョンデの新車はキャスパーっていうんだよ」と同行者に伝えると、みな一様に「かわいいねえ」と感想を言った。

「キャスパー」といえば、1959年から61年にかけて制作された米国のアニメーションが有名で、私も子どもの頃は大好きだった。95年にはハリウッドでリメイクもされている。この商標登録の関係で、韓国以外でキャスパーの名は使えず、日本に先行して販売されている欧州市場を含め、グローバルでは「インスタ-」となっているのだ。

ひと目見て、そして名前を聞いてもキュートなこのクルマ、ぜひ注目し続けたい。

Hyundai Inster Lounge

全長×全幅×全高:3,830×1,610×1,615mm
ホイールベース:2,580mm
電気モーター 前輪駆動
最高出力:85kW
最大トルク:147Nm
バッテリー容量:49kWh
乗車定員:4名
問い合わせ先/ヒョンデ・モビリティジャパン
www.hyundai.com/jp