【Penが選んだ、今月の音楽】
『ブラームス:チェロ・ソナタ集』
演奏楽曲が作曲された頃に使われていたであろう楽器と、当時の演奏習慣によって作品の真の姿を炙り出そうとする“古楽”。このムーヴメントを牽引してきた巨匠世代の子どもふたり(チェロのエイミーはロジャー・ノリントンの娘、フォルテピアノのピートはヴィーラント・クイケンの息子)の共演によるブラームスのソナタ集は、同曲の決定盤と呼びたくなるような仕上がり。それほど音量が大きくない当時のピアノだからこそ可能な溶け込み合い方で、作曲者が意図したであろうサウンドが蘇った。
※この記事はPen 2025年2月号より再編集した記事です。