世界に誇る“デザイン大国”英国を、グラフィックデザイン史から紐解く1冊『Modernist Graphic Design in Britain 1945-1980』

  • 文:宮田華子
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LONDON ロンドン/イギリス

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著名デザイナーのイアン・マクラーレンとデザイン学者、トニー・プリチャードが執筆。500部限定で出版されている。

デザイン先進国、英国ならではの書籍が発売された。『Modernist Graphic Design in Britain 1945-1980』は、デザイン大国としての立場を固めるまでに至った第二次世界大戦後の約35年間を、グラフィックデザイン視点で解説する注目の書だ。

終戦後の緊縮財政や冷戦などに直面した厳しい時期、イギリスでは多くのデザイナーが“デザインの力”で国と社会をもり立てようと挑んでいた。この時代に制作された雑誌、ポスター、タイポグラフィーなど多岐にわたる作品からは、傷ついた国が息を吹き返すさまが見て取れる。デザインと各時代の密接な関係だけでなく、有名無名にかかわらず国内のデザイナーを紹介する興味深い1冊だ。

https://the-modernist.org

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反戦団体「Committee of 100」が1961年に行ったデモのポスター。政治・社会に関わる作品を多く手掛けたロビン・フィオール(1935-2012)によるデザイン。

※この記事はPen 2025年2月号より再編集した記事です。