70周年を迎えたクラウンが新たな歴史へ、専門店「THE CROWN」が東京・大阪で同時開業

  • 写真:大河内 禎
  • 文:青山 鼓
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2025年1月7日、トヨタ自動車の象徴的モデル「クラウン」が70周年を迎える記念日に、専門店「THE CROWN」東京虎ノ門と大阪千里が同時オープンした。「THE CROWN」はクルマを売るための店舗ではなく、ブランドの精神を共有するコミュニケーションの場として機能する。

「和」の要素を取り入れながらクラウンの世界観を表現する店舗デザインは、日本を代表するブランドであることを印象付け、文化的価値をも提案する。そもそも、ブランドとしての進化を体現していると言える、トヨタ初の車種専門店である「THE CROWN」という取り組み。次代への挑戦でもある、東京虎ノ門・大阪千里の新店舗で表現されるものとはなにか。

革新と挑戦を繰り返してきた、クラウンの精神

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トヨタの乗用車開発を本格的に推進する基盤となった、純国産設計・生産を実現した初代クラウン。(提供:トヨタ自動車)

クラウンは1955年、トヨタ初の本格的な乗用車として誕生した。「日本社会に寄り添い、豊かさを提供する」という理念のもと、純国産設計で快適性と耐久性を兼ね備えたモデルだった。この純国産という挑戦は、日本の自動車技術を飛躍的に向上させる礎となり、高度経済成長を支えた要因のひとつとなった。

1970年代には高速道路網の整備が進む中で、より快適な長距離移動を実現するための高性能エンジンや静粛性を追求。1990年代には「マジェスタ」シリーズを追加し、ラグジュアリーな選択肢としてその地位を確立してきた。

こうした進化を経て、16代目となる現在のクラウンは、クロスオーバーやSUVといったモダンなスタイルを取り入れ、伝統的な4ドアセダンの枠を超えた大胆な変革を遂げている。クラウンの清水竜太郎チーフエンジニアは「クラウンの本質は革新と挑戦の繰り返し」と語り、宮﨑満則チーフデザイナーも「クラウンは時代ごとに多様なニーズに応え続けるブランドだ」と進化の背景を説明する。

時代や顧客の多様な価値観に応えるためにかたちを変えながらも、ブランドの核となる革新性という本質を守り続けてきたクラウン。その歩みは、多くの人が自らの価値観や生き方を重ね合わせられるだろう。

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日本の伝統を取り入れながら、進化する東京虎ノ門

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東京の中心にオープンした「THE CROWN 東京虎ノ門」はビル4階に位置。2階にはサービス工場も用意されている。

「THE CROWN 東京虎ノ門」は、クラウン誕生の地である虎ノ門にオープンした。この店舗は、1955年に初代クラウンの発表会が開かれた東京トヨペット虎ノ門本社を改修したもので、ブランドの原点と未来を結ぶ特別な場所である。

同店舗のグランドマイスターを務める伊藤裕は、「THE CROWN 東京虎ノ門」のコンセプトについて、クラウンと顧客、販売店をつなぐ“絆”を強調する。単なるクルマの販売店ではなく、クラウンの精神に共感するファンとのコミュニティを創出し、ブランドの価値を共有する場である、と。

店内には、東京の木材「多摩産材」を使用した家具を配置し、日本文化の粋を感じさせる盆栽を展示。またアートとしての書を追求する実力派書家、田中逸齋が制作した「絆」の書を飾り、若年層や女性を含む幅広い層への訴求を目指している。

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16代目クラウンが世界に進出する上で重視した「日本の美意識」が、店舗のインテリアデザインでも強く意識されている。エントランスにはクラウンのロゴを配したのれんも。
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「絆」を表現するモダンな書が展示されるラウンジには、歴代クラウンのカタログがずらりと並ぶ。革新の積み重ねがやがて伝統となった、クラウンの歩みを雄弁に物語る。(写真右/提供:同)

最新のデジタルツールも導入されており、クラウンの魅力を深く体感できる仕組みも整う。長期試乗プログラムや、クラウンとの始まりを記念する特別納車プログラムなどが提供される予定だ。訪れた客が特別な時間を過ごせる工夫が随所に凝らされ、クラウンブランドを体現する空間として、ブランドと顧客の新しい関係を築いていく。

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親から子、そして未来へ。特別な意味を伝える大阪千里

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バイアスに配されたグラフィカルな木材の使い方が印象的な「THE CROWN 大阪千里」。(提供:同)

「THE CROWN 大阪千里」は、関西地域のクラウン愛好者に向けて開かれた特別な空間だ。千里の街並みが持つモダンな都市景観と、クラウンが誇る革新性が美しく調和するよう設計されており、訪れる人々に「ここがクラウンを象徴する特別な場所だ」と感じさせるだけでなく、この地域とクラウンが新しいかたちで結びつくことを目指す。

同店のゼネラルマネージャー山中崇は、クラウンをこよなく愛していたという自身の父との思い出を明かす。幼少期、父がクラウンを手入れする姿を目にし、「クルマは家族の一員」だと教えられた経験が、彼自身の人生に影響を与えたという。「THE CROWN 大阪千里」では、そんな“家族の象徴”であるクラウンの特別な意味を、来店者に感じてほしいと語る。

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水の都、大阪のイメージをモダンに表現したラウンジには、「日本のクラウン、ここにありと世界に示したい」と熱く語ったトヨタ自動車会長の豊田章男の姿も。(提供:同)
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大阪発のガラス細工「天満切子」のオリジナル呈茶セットのほか、地元の素材や職人技にフォーカスしている。(提供:同)

店内の設計には、地元の素材や職人技が活かされている。地域のアーティストが手掛けたアートワークや、日本の伝統を現代に昇華させた装飾がちりばめられ、訪れる人々に文化的な豊かさを提供する。

完全予約制による特別なおもてなしや、試乗プログラムなど、来店者がクラウンを体験し、深く理解できる仕組みが随所に見受けられる。

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新たな道を切り開き、時代に寄り添い価値を創出する

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同日披露された、THE CROWN特別仕様車「CROWN “THE LIMITED-MATTE METAL(ザ リミテッド マット メタル)”コンセプトモデル」。

2023年12月から展開している、クラウン専門店取り扱いの特別仕様車、クラウン「THE LIMITED-MATTE METAL」のコンセプトモデルも披露された。革新的な塗装技術により、メンテナンス性を高めつつ、美しい質感を実現するシリーズに、セダンが新しいラインアップとして加わった。

クラウンの挑戦はクルマのデザインにとどまらない。「DISCOVER YOUR WAY」というテーマのもと、顧客の多様なライフスタイルに寄り添う商品展開や、「THE CROWN」を通じた新しい接点の創出に注力していくという。

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クラウンのチーフデザイナー、宮﨑満則さん(左)と同チーフエンジニアの清水竜太郎さん(右)。

清水チーフエンジニアは「クラウンは時代ごとに新しい価値を生み出し、顧客一人ひとりの豊かな暮らしに寄与するブランド」と語る。その言葉が示すように、クラウンは固定観念にとらわれない革新性を持ち、未来を切り開いていく。

クラウンの魅力である「革新と挑戦」を体感し、その精神に共感するファンと出会う。そのための新たな挑戦として生まれた「THE CROWN」で、次世代のクラウンの魅力をぜひ体験してほしい。

THE CROWN

千葉中央 千葉県千葉市中央区登戸2-2-7
東京虎ノ門 東京都港区虎ノ門1-2-13 ヒューリック第2ビル
横浜都筑 神奈川県横浜市都筑区荏田東2-9-30
愛知高辻 愛知県名古屋市昭和区高辻町6-8 ATG南館1F
大阪千里 大阪府吹田市津雲台7-4-1
福岡天神 福岡県福岡市中央区渡辺通4-8-28 FTビル2F

https://toyota.jp/info/crown_brand/flagshipstore