「PS6」と評しても、過言ではない驚異の進化「Sony PlayStation 5 Pro」【麻倉怜士が選ぶ今月の家電】

  • 文:麻倉怜士
Share:

〈コンソールゲーム機〉
Sony PlayStation 5 Pro(ソニー プレイステーション 5 Pro)

1 s.jpg
高性能なスペックながら、高さは初期型PS5と同じ、幅は現行販売しているPS5と同じサイズを実現した。PS5 Pro用の本体カバーも今後、発売が予定されている。¥119,980 © 2024 Sony Interactive Entertainment Inc. All Rights Reserved.

ゲームの映像リアリティが、ここまで来たのかと驚嘆を禁じ得ない。プレイステーションの5代目、PS5も十分な描画性能だったが、ソフト・ハード両面における高画質の追求から生まれた新たな成果が、このPS5 Proだ。ゲーム規格は7〜8年ごとに世代交代し、その中間期にマイナーチェンジを据える。PS5は2020年デビューだから本機はそれに当たるが、画質向上ぶりは、“マイナー”どころではない。『FINAL FANTASY Ⅶ REBIRTH』の森の中を進むシーン。木々の葉のディテールやゆらぎ、遠景のフォーカス感など、PS5では画面が動くと解像感が全面的に落ちてもやっとするが、PS5Proは動画でもまったくシャープ。静止画と変わらずハイフォーカスなのだ。さらに驚くのが『グランツーリスモ7』の車体の光模様。太陽光、高層ビルなど周りの風景や車体後部への後続車の映り込みなど、車体から光が反射し煌めく様子がたいへん細密に、しかも猛スピードで描画されるのだ。ゲームプレイ時には60分の1秒、つまり0.0166666…秒の間にすべての映像処理が完結し、リアルタイムにその結果を反映させている。

技術的にはまず、GPU(画像処理LSI)性能を大幅に向上し、レンダリング速度が45%アップ。次いで光量、輝度、角度、屈折、反射など光線のふるまいを描写するレイトレーシングの速度がPS5の2〜3倍に。さらにAIによる解像感向上。2Kのゲームを4Kにアップスケーリングする時に、細部の描写を強化した。

『ソニーの革命児たち』というPS1の開発物語を上梓し、初代の画質を知悉していた私だが、CG技術の驚異的な進化に改めて目を見張ったのである。

2.jpg
PS5と同じワイヤレスコントローラーを使用可能。ゲーム内の状況に応じて振動するのはもちろん、車のブレーキをかけたり、弓の弦を引く感触などもリアルに表現する。

麻倉怜士

デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。著書に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)などがある。

問い合わせ先/プレイステーション カスタマーサポート
www.playstation.com/ja-jp/support

※この記事はPen 2025年2月号より再編集した記事です。