グラフィック・空間・映像・アートピースなど、さまざまなアプローチで制作活動を行うアーティストYOSHIROTTEN。
この連載では「TRIP」と題して、古くからの友人であるNORI氏を聞き手に迎え、自身の作品、アート、音楽、妄想、プライベートなことなどを織り交ぜながら、過去から現在そしてこれからを、行ったり来たり、いろんな場所を“トリップ”しながら対談します。
2024年の連載も終わり。鹿児島県霧島アートの森での個展が大きなニュースになったものの、振り返るとこの1年でやったプロジェクトや展示は意外と盛りだくさん。やっと日常に戻ったYOSHIROTTENと、師走の忙しさに駆られるノリと今年を締めくくる。
YOSHIROTTEN:2024年の連載もこれが締めくくりですね。いつものノリさんは今日どこかに行っていません…。12月はフランス・パリ、ロンドンからマイアミへ行って、アートマイアミでジャガーの新車発表会を見に行ってきました。マイアミの後にロンドンへもう一度戻り、東京に帰ってきていますごい時差ボケです。なので、今日はドイツのプレミアム健康補助食品ブランド「オーソモル」を飲んでから始めたいと思います。
──韓国や日本では、「飲むエルメス」として知られてますよね。
YOSHIROTTEN:最近、知り合いが日本のディストリビューションをやることになったご縁で、パッケージデザインとしてコラボレーションしました。ドリンク×錠剤のサプリメント「オーソモルマルチビタミン&ミネラル30日分」が入ったボックスのデザインと、一本を入れるアクリルモノリスケースをつくりました。飲んで、体の中が綺麗になったり、静脈や動脈の色だったり、はたまた空にも見えるかもしれないようなイメージです。
──鹿児島霧島アートの森の個展中に進めていたプロジェクトもそろそろ年末年明けにかけて解禁されてきますか?
YOSHIROTTEN:そうですね。12月8日には宇多田ヒカルさんの最新曲「Electricity」のMVも公開されました。曲を聴いた時にパラポラアンテナの風景と、地球や宇宙のアーカイブが降り注いでいくイメージができたから、調べていくなかで、たまたま宇多田さんの故郷でもある山口県に「KDDI山口衛星通信所」という場所があって、そこで1日撮影しました。監督には、黒柳克樹くんと笠井裕輔くんを呼んで、コンセプトとアートディレクションを僕が担当しました。同時に、夏のツアーのブルーレイも発売されてジャケットデザインも行いました。それでいまは、やっと展示も終わってまた日常のデザイン業務に戻ってきている感じです。あれ、ノリが戻ってきた…!
NORI:やっぱり話したーい!
──鹿児島の個展も会期延長したおかげでギリギリ駆け込みましたが、鹿児島自体空気が澄んでて、展示はもちろんのこと霧島神宮や温泉など1日でも結構時間がいい意味で長く感じて、時空が伸びた感じしました。
YOSHIROTTEN:そういうゾーンに入る時ってあるから。霧島は時空の歪みをより感じる場所だったね。作品「kirinoshima」に自然光が外から入ったのがハイライトだった。
NORI:この間、神社のあるあたりを散策してみた。ちょっと山奥に行ってみて。そしたらとっても立派の木の根本で、ぼこぼことお湯が沸いてて。このミネラルを木が吸収してるんだなとか、なぜこの土地が神話の舞台になったのかとか、色々わーっと妄想しちゃった。そういえば、霧島アートの森の職員の方が神社仏閣、神話の話をいろいろ教えてくれた。そういえば、よしろーくんに本を渡したって言ってたような。
YOSHIROTTEN:そうそう、NASAの職員が見たUFOの記録本をもらって。アメリカでは12月に入ってからUFOの目撃情報が増えていて政府も協議してるみたいだね。
NORI:「UFO」って名前自体も「UAP(unidentified aerial phenomenon)」に変えるそうだよね。ほんとかな。あー、やっと今年の連載でカジュアルな話が出た感じがします。そのくらい一年を通して、展示やプロジェクトなど盛りだくさんでしたよね。真面目に働いたなあ。
YOSHIROTTEN:gggでの個展も福岡ドームでのSUNも思い返してみれば、今年全部やってましたね。2022年の時くらいから、2024年はなにか自分にとって重要な年だなと思っていて。自分のプロフィールにも書いているような、都会と自然を作品にしていることを体現できたかなと感じてます。来年は、今年やったものを書籍にしたり、観に来れなかった人たちに届けられるといいかな。
NORI:鹿児島でのFUTURE NATUREの前に、gggできたのはよかったですよね。節目だなー、と思ってました。もともとヨシローくんはいろんなこと飛び越えるような活動と表現をしてるけれど、自分の中ではちょっとそれを逆手にとってアートディレクションやグラフィックデザインの仕事のアーカイブをアートインスタレーションのフォーマットや作法で再解釈するって実験のような意識がありました。すごく楽しかったですよ。それから、僕個人としては、今年色々と大きなスケールの仕事に携わってもっと精進しないとなと思いました。
YOSHIROTTEN:霧島アートの森の個展も、gggも1万人ちかい人たちがみてくれたしね。海外にも色々と移動することが多くて、こんなに飛行機に一年で乗る機会は稀だった気がする。飛行機の仕事したいですね。飛行機で流れる映像、機内のデザインとかしたいですね。
NORI:そしたら、飛行機にある冊子コラム書きたいですね。
YOSHIROTTEN:マイアミで見たジャガーの新作発表会を通して、いつか乗り物もデザインしてみたいなあと思いましたね。
NORI:僕は来年SF映画かドラマを作りたいです。まだ内容を決めてないけど…。「インターステラー」みてぶっ飛ばされた。ロボット「TARS(タース)」かっこいー。
YOSHIROTTEN:そういえば、「TARS(タース)」のブートフィギュア持ってたのにどっか行っちゃったなあ。あれ、どこに行ったんだっけ...。
とにかく来年も面白いことできたらいいな。
みなさん良いお年を〜
アーティストYOSHIROTTENの「TRIP」
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グラフィックアーティスト、アートディレクター
1983年生まれ。デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、領域を往来するアーティスト。2015年にクリエイティブスタジオ「YAR」を設立。銀色の太陽を描いた365枚のデジタルイメージを軸に、さまざまな媒体で表現した「SUN」シリーズを発表し話題に。24年秋に鹿児島県霧島アートの森にて自身初となる美術館での個展が決定。
Official Site / YAR
1983年生まれ。デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、領域を往来するアーティスト。2015年にクリエイティブスタジオ「YAR」を設立。銀色の太陽を描いた365枚のデジタルイメージを軸に、さまざまな媒体で表現した「SUN」シリーズを発表し話題に。24年秋に鹿児島県霧島アートの森にて自身初となる美術館での個展が決定。
Official Site / YAR