「可愛すぎる…」“ギョロ目のステッカー”が貼られた街のオブジェが大人気に…しかし剥がす時に大問題が発生”

  • 文:大村朱里
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Shutterstock-SweetLemons ※写真はイメージです

アメリカ・オレゴン州ベンド市の街中で、公共の彫刻が予想外の姿に変わり、住民の間で話題を呼んでいる。その原因は、街中のアートに貼られた巨大なギョロ目シール。 最初は笑いを誘っていたこのいたずらが、今や市当局とアーティストたちにとって深刻な問題に発展している。 彫刻に貼られた『ギョロ目シール』が問題となっているのは、ベンド市の象徴的な「ラウンドアバウト・アート・ルート」。市内の数カ所に設置された27の公共彫刻のうち、少なくとも8つに、白い大きな目のシールが貼られていた。

中でも注目を集めているのは、アーティスト、ブランドン・ゼボルドの球体彫刻「Orb I」や、ダナエ・ベネット=ミラーの「Bueno Homage to the Buckaroo」など、人気の高い作品。シールを貼られたこれらの彫刻は、まるで人間のような表情を浮かべているかのように見え、思わず笑ってしまうようなユニークな印象を与えている。 特にカンガルーの彫刻や丸い石に貼られた巨大なギョロ目ステッカーは、アート作品が一変して可愛らしく親しみやすくみえる...。しかし、この「ギョロ目シール」のイタズラは市内で大きな問題となった。

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ただのイタズラが大問題に? 

アート作品にシールを貼っただけなら、それで済んだかもしれない。しかし、問題はその後に起きた。 「ギョロ目」を剥がす過程で使用された接着剤が、彫刻の塗装や保護コーティングを傷つけてしまったのだ。その結果、修復には数千ドルの費用がかかる事態に発展している。 これらのアート作品は地元非営利団体Art in Public Placesから寄贈されたもの。市当局によれば、これまでにすでに20万円以上の修復費用がかかり、「Crossroads」という彫刻の修復には約78万円もの費用が見込まれているという。

ベンド警察は犯人の捜査も行っていないというが、市はソーシャルメディアを通じて住民にパブリックアートを大切にするよう呼びかけている。 SNSの投稿では、「街中のアート作品に付けられたギョロ目ステッカーは笑いを誘うかもしれませんが、アートを傷つけずに外すには時間もお金もかかります」とコメント。 また、市のスポークスマン、ルネ・ミッチェルは「接着剤によるダメージは鉄や金属製の彫刻に深刻な影響を与え、最悪の場合は錆びを引き起こします」と警告している。 市民の反応はさまざま。SNS上では、「誰がやったの!可愛すぎるからそのままにして!」「愛嬌ある...!」といった賞賛の声が集まる一方で、「アートを大切にすべき」という真剣な意見も少なくない。 彫刻「Three Rising」を制作したアーティスト、パメラ・パッカー=コジツキさんは、「遊び心があるのは分かるけれど、彫刻を傷つけない形で行われるべきです」とタイムズ紙に語った。

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【画像】ギョロ目のシールが貼られたアート作品たち。