かつて繊維卸の物流団地として栄えた大阪・箕面市船場地区。北大阪急行電鉄南北線の延伸に伴い、新駅「箕面船場阪大前駅」が2024年3月に開通した。これに先行し、「箕面市立文化芸能劇場」と「大阪大学箕面キャンパス」が竣工するなど、市が事業主となり駅前再開発が進む。
この新駅開通とともにオープンしたのが、改札のある地下3階から地上2階までを結ぶエントランス空間。大阪を拠点とするジオ-グラフィック・デザイン・ラボが意匠設計を担当した(東畑建築事務所との共同設計)。
高低差16mにもおよぶ巨大な吹き抜けには、5層をダイレクトにつなぐエレベーターに加え、立体的な大階段が取り囲む。こうした通行機能のみならず、吹き抜けに面してカフェやギャラリー、椅子などを置いた踊り場などが点在し、駅全体が自由に集えるコモンスペースとして設計されている。
吹き抜け全体を覆うのが、枝葉を広げたような7枚の白い膜屋根。雨が吹き込まないように角度を変えて重ね合わせ、階下に柔らかな光と風を導いた。一般的に暗く閉塞的になりがちな地下空間だが、自然を感じられる開放的な半屋外空間になっている。
今後、隣接地に大型集合住宅の完成が控えている。駅を核としたエリア一体がより活気を帯びた場所になりそうだ。
箕面船場阪大前駅エントランス
住所:大阪府箕面市船場東3-2-11TEL:なし
【設計者】ジオ-グラフィック・デザイン・ラボ
意匠統括担当の前田茂樹は、1974年大阪生まれ。2010年にジオ-グラフィック・デザイン・ラボを設立。本建築は、設計共同体である東畑建築事務所が意匠および構造・設備設計・全体マネジメントを行った。
※この記事はPen 2025年1月号より再編集した記事です。