約600年の歴史を持つ山口県・長門湯本温泉には、名所旧跡に加え新たな観光スポットが近年続々と誕生している。地元の名窯を引き継ぐ、十六代坂倉新兵衛がお薦めのスポットを案内する。
前編はこちら。
---fadeinPager---
感性を刺激する、長門湯本温泉
「茶陶産地である深川萩と県内最古の長門湯本温泉。ふたつの文化が、長い時間をかけて緩やかに絡み合っている様子を感じてもらえるとうれしい」と十六代坂倉新兵衛は語る。
恩湯(おんとう)
1427年にまで歴史を遡ると伝えられる長門湯本温泉の元湯として、観光客だけでなく、地元民からも愛される立ち寄り湯。8㎡の小さな湯船は、毎分130Lで湧き出る39度のぬる湯を余すところなく堪能できるように考えられたもの。
(左)しめ縄の先にある岩盤からひたひたと流れ出る元湯も神秘的。 (右)建物は建築家であり“温泉家”としても知られる岡昇平が担当している。 住所:山口県長門市深川湯本2265 TEL:0837-25-4100 営業時間:10時~22時 www.onto.jp
大寧寺(たいねいじ)
1410年に創建された曹洞宗の寺院。その隆盛から「西の高野」と呼ばれ、室町時代に山口に栄華をもたらした大内義隆公をはじめ、戦国〜江戸期の覇者たちの墓石が立ち並ぶ。また恩湯は同寺の所領でもあり、さらに深川萩はもともと大寧寺の土地と薪の供給を受けて創業されていたりと、長門湯本の暮らしと文化に深く関わり支え続ける、なくてはならない存在だ。「歩くだけで気持ちが落ち着く」と坂倉さん。 住所:山口県長門市深川湯本1074 TEL:0837-25-3469 www.taineiji.jp/index.html
瓦そば柳屋 長門湯本店
熱した瓦の上に茶そばをのせ、そこに錦糸卵と牛肉、薬味を盛った「瓦そば」は、山口名物のローカルフード。長門湯本の中心部を流れる音信川のほとりに立つ築70年の校舎をリノベーションした複合施設の1階にある同店は、土壁の落ち着きのある店内で出来たての瓦そばを堪能できる。そばがパリパリになった「おこげ」の部分もおいしい。注文を受けてから焼き上げるみたらし団子のテイクアウトもお薦め。瓦そばとわかめむずびのセット¥1,560 住所:山口県長門市深川湯本1325-1だいご長屋1F TEL:080-9185-3070 営業時間:11時~19時 www.kawarasoba.co.jp
cafe & pottery音(おと)
「深川萩をもっと身近に感じてほしい」と、坂倉新兵衛さんが共同オーナーのひとりとなり、2017年に誕生したカフェ。若手作家の常設展を行うほか、カフェで使用する器にも自身の作品や深川萩を用い、地元のフルーツを使ったケーキやタルトを提供。展示台には倒木した松の老木や廃校になった地元小学校の理科標本ケースを再利用するなど、随所に街の記憶を刻み込んでいる。
抹茶テリーヌ¥650、音信ブレンド¥650。どちらも深川萩の器を使っている。 住所:山口県長門市深川湯本1261-12 TEL:0837-25-4004 営業時間:10時~16時 www.oto-cafe.jp
大谷山荘 別邸音信(おとずれ)
全18室のプライベート感ある贅沢な宿。開放的なエントランスでは四季折々の自然美を肌で感じることができる。 住所:山口県長門市深川湯本2208 TEL:0837-25-3377 www.otozure.jp
エントランスから廊下を歩いた先にある、茶室一峰庵。
THE BAR NAGATO
キャリア30年超えのベテランバーテンダーがオープンした本格派のバー。地域のフルーツなどを使ったフルーツカクテルが人気。
窓側の席からは、町の中心を流れる音信川を見下ろせる。 住所:山口県長門市深川湯本1325-1だいご長屋2F 営業時間:18時~24時
ロバの本屋
長門市の山中にあるカフェ併設の本屋。古い牛舎を改装した店内に、店主がセレクトした書籍&クラフトが並ぶ。
かわいらしいロバの置物が目印だ。 住所:山口県長門市俵山6994 TEL:0837-29-0377 営業時間:11時~17時 www.roba-books.com
人気の土産は、はちみつ&ビール
養蜂から蜜搾り、瓶詰めまで、ていねいな手仕事でつくる「孫農園」のはちみつ。純粋・非加熱・完熟が基本の長門のスローフードだ(1本¥2,000〜)。カフェ&ポッタリー音(TEL:0837-25-4004)で購入可。
長門湯本に2021年に誕生したビール醸造所「サンロクロクビール」(@sanrokuroku_beer)では、併設のタップルームでテイクアウト用のオリジナル瓶ビール(¥700〜)を各種販売している。