今年10月に韓国でソロアーティストとしてデビューし、魅力的な歌声と心に寄り添う温かな歌詞で注目を集めているシンガーソングライターのオリビア・マーシュ(Olivia Marsh)。NewJeansのメンバーであるダニエルの実姉としても知られる彼女は、日本でも人気急上昇中のK-POPガールズグループ、KISS OF LIFEやKep1er(ケプラー)をはじめとする数々のアーティストに楽曲を提供し、作詞・作曲家としても才能を発揮してきた。そんな彼女が心温まるホリデーシーズンにぴったりの新曲「First December with You」をリリース。日本メディア初のインタビューに応じ、幼少期の思い出や音楽への想い、そして大好きな日本のアニメの話まで、自身の言葉でたっぷりと語ってくれた。これからの活躍がますます楽しみな彼女の魅力に迫った。
――日本のメディアとのインタビューは今回が初めてですよね。簡単に自己紹介をお願いします。
こんにちは、みなさん! オリビア・マーシュです。オーストラリアと韓国にルーツを持つシンガーソングライターです。こうして日本の皆さんに自分のことを紹介できる機会をいただけてとても嬉しいですし、ワクワクしています。これからもどうぞ応援よろしくお願いします!
――10月にリリースされたデビュー曲「42」は、幼少期に住んでいたオーストラリアの家の番地が由来だと伺いました。ミュージックビデオにも幼少期の映像がたくさん使われていますね。その頃の思い出について教えてください。
「42」は、私が子ども時代を過ごした家についての曲です。人生で最も多くの時間を過ごした場所なので、特別な思いがたくさんあります。ミュージックビデオには、その家で撮影されたホームビデオをたくさん使いました。制作のために家族と一緒に10時間以上の映像を見返したのですが、笑ったり泣いたりしながら、当時の思い出を振り返ることができました。この映像は私だけでなく、家族にとっても大切なものなので、公開するのは少し緊張しました。でも、私の人生の一部を皆さんに共有することで、より深く繋がれるのではないかと思いました。
――オーストラリアで生まれ育ちましたが、幼少期に韓国で過ごした時期があったそうですね。その頃はオーストラリア時代とどのように違いましたか。
韓国で暮らした子ども時代の経験は、いまでも忘れられない特別な思い出です。小学生の頃に家族とともに韓国に移り住み、3年間過ごしました。最初は韓国語がまったく分からなかったので、学校では苦労することも多かったです。特に最初の1カ月間は母が教室で隣に座り、テストの質問を翻訳してサポートしてくれました。子ども心に少し恥ずかしい気持ちもありましたが、そのおかげで韓国の言葉や文化に少しずつ馴染むことができました。それまで母を通じて韓国料理や文化に親しんでいましたが、実際に韓国で生活をすることで、より深く韓国の文化や自分のルーツに繋がることができたと感じています。
――幼い頃から妹さんと一緒に歌を歌ったり音楽を作ったりしていたそうですが、当時はどんな音楽を聴いていましたか?
私の子ども時代の家は、いつも音楽で溢れていました。父が大好きなABBAやJohn Denver、The Beach Boysの曲をCDプレイヤーでよく流していて、私たち姉妹もその音楽にすっかり夢中になっていました。その頃に聴いていた音楽は、いまでも私にとって大きなインスピレーションの源になっています。妹のダニエルと一緒に遊び、部屋や寝室で踊りながら妖精ごっこをしていたのも懐かしい思い出です!
――妹さんと音楽アプリを共有していると伺いました。お二人の音楽の好みにはどんな違いや共通点がありますか?
ダニエルと私は音楽の趣味がとても似ているんです。同じストリーミングアプリを使っているので、お互いが最近どんな曲にハマっているのかがすぐに分かります。私がある楽曲に夢中になると、少し後にはダニエルもその楽曲を聴き始めていたりするんですよね。逆に、彼女のプレイリストをこっそりチェックして、私が知らなかった素敵な音楽を発見することもよくあります!
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作詞・作曲家、そして歌手としても活動する多彩な才能
――Livyという名義で作詞・作曲家としても活動されており、KISS OF LIFEやKep1erといったアーティストの楽曲制作にも携わりました。楽曲制作ではどのようにインスピレーションを得ていますか? 自身のための楽曲をつくる時とどう違いますか?
素晴らしいプロデューサーやアーティストと一緒に制作する中で、たくさんのインスピレーションを受けています。一緒にアイデアを出し合いながら、ゼロから新しい楽曲を生み出していくプロセスは本当に楽しくて、いつも刺激をもらっています。そうやって、誰かと一緒につくる曲は、チームのエネルギーや雰囲気から自然とインスピレーションが湧いてくることが多いです。一方で、自分自身のために曲を書くときは、自分の人生経験や出会った人々、日々の小さな出来事が主なインスピレーションになります。自分の楽曲は、とてもパーソナルなものになることが多いので、自然とストーリーテリングに重きを置くことが多いですね。
――作曲家、作詞家として活動されていた中で、アーティストとしてもデビューを決意した理由も気になります。
正直、これが「仕事」になるなんて考えたこともありませんでした! 子どもの頃から歌うことは大好きだったけれど、あくまで趣味のひとつだと思っていて、それをキャリアにできるなんて夢にも思わなかったんです。でも、「たとえ趣味だとしても、歌い続けるんだろうな」とは感じていました。私がアーティストとしてデビューするきっかけになったのは、作詞・作曲活動を通じてMPLIFY(※)と出会ったことでした。ある日、別のアーティストのための楽曲制作セッション中に、プロデューサーでありCEOのサミュエルさんと出会ったんです。当初は自分がアーティストになるなんて考えもしなかったので、あまり前向きではなかったのですが、じっくり考えてみると「自分の声で、自分の音楽を通じて人と繋がりたい」という気持ちが強いことに気づきました。
(※)ワーナーミュージックコリア傘下に、新しく2024年9月に設立されたレーベル。
――音楽を愛するご家庭で育ったからでしょうか、姉妹揃ってアーティストとしてデビューされていますね。
私がいまこうして音楽活動を続けられているのは、家族の温かい応援があるからこそだと思っています。家族はいつも「好きなことをやっているなら、それでいいよ」と言ってくれます。家族全員が音楽が大好きですが、両親が音楽業界に関わっていたわけではありません。でも、私と妹のダニエルが幼い頃から音楽やパフォーミングアーツを好きなことに気づいていて、ボーカルやピアノのレッスンを受けさせてくれるなど、いつもサポートしてくれました。本当に恵まれた環境で育ったと感じていますし、両親には感謝してもしきれません。
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ホリデーシーズンにぴったりな、新曲制作の裏側
――11月にリリースされた「Heaven」は、夢のような愛をテーマにしていると伺いましたが、実体験からの感情でしょうか。
「Heaven」は、私が以前見た夢から生まれた楽曲です。その夢では、地元のバス停で待っていると1台の車が止まり、私がその車に乗り込んだ瞬間、運転席にいる人を見て、言葉では表せないほどの圧倒的な愛情を感じたんです。その感覚がとてもリアルで、今でも鮮明に心に焼き付いています。この夢がきっかけとなり、「無条件の愛」をテーマにした曲を書くことになったんです。
――「First December with You」はホリデーシーズンにぴったりの楽曲ですね。この曲を制作したときにどんな情景を思い浮かべていましたか?
この楽曲は、昨年のクリスマスに書いたものなんです。雪が降る中、温かいコーヒーを片手にスタジオへ向かっているときに、愛する人と一緒に初めてのホワイトクリスマスを過ごす、そんな情景が自然と浮かびました。私はクリスマスが大好きなので、デビュー後初めてのホリデーシーズンを、こうして皆さんと一緒に過ごせることが本当に嬉しいです!
――今年のクリスマスはどのように過ごす予定ですか?
今年のクリスマスは、静かにゆったりと過ごすつもりです。ホリデーシーズンには友人と会う予定もありますが、クリスマス当日は家でのんびりしながら過ごそうと思っています。寒い季節は、温かい食事や映画を楽しみながら、心地よい時間を過ごすのが一番好きなんです。今年もホワイトクリスマスになればいいな、と密かに願っています!
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ジブリが大好き! 将来的には日本でライブも....!?
――テーム・インパラ(Tame Impala)やサブリナ・クラウディオ(Sabrina Claudio)などのアーティストがお好きだと伺いました。好きな日本のアーティストはいらっしゃいますか?
もちろんです! The Weekndをきっかけに亜蘭知子さんの音楽を知り、大ファンになりました。また、坂本龍一さんや久石譲さんの音楽にはとても癒され、大学時代には毎日のように聴いていました。それから、Rina SawayamaさんやYOASOBIも大好きです!先日、NewJeansのイベントで彼らのライブを観る機会があったのですが、一瞬でその魅力に惹き込まれました。
――ジブリ映画がお好きだと伺いました。中でも『もののけ姫』が特にお気に入りだそうですね。どうやって好きになったのでしょうか?
父がジブリを教えてくれたのがきっかけです。宮崎駿監督の作品を観て育ち、その映像の美しさや世界観に圧倒されました。中でも『もののけ姫』はずっと私のお気に入りです! 子どもの頃はサンの格好をして遊んだり、映画のキャラクターを水彩画で描いたりしていました。ジブリ作品は物語に深みがあって、登場するキャラクターもとても複雑で人間味があるので、観ているうちに自然と映画の世界に引き込まれてしまいます。今でも何度観ても新しい発見があり、心を動かされる作品ばかりです。
――デビュー以来、毎月シングルをリリースされています。このペースだと近い将来、EPやアルバムのリリースも期待できますか?
これまでに発表した楽曲の多くは、他のアーティスト向けの曲を書くセッションの中で生まれたものなんです。当時は、自分がアーティストとしてデビューするなんて全く考えていなかったので、「他の誰かが歌う曲」を意識して制作していました。その中には自分自身の物語や気持ちが反映された、とてもパーソナルな楽曲もあって、自分の音楽をリリースするタイミングが来たときには、自然と出したい曲がすぐに決まりました。EPも近々リリースする予定なんです! これまでのシングルと同じように、EPにはさまざまなジャンルやスタイルの楽曲が収録されているので、ぜひ楽しみにしていてくださいね!
――今月末の12月28日にはシンガポールで初のフェスティバル出演を予定されています。デビュー直後から海外で注目を集めていますが、日本での活動予定はありますか?
旅行が大好きで、昨年はいろいろな美しい国を訪れる機会に恵まれました。日本には高校時代と最近の家族旅行で2回訪れたことがあるのですが、日本の文化や温かい人々、美味しい食べ物には毎回感動します。いまのところ具体的な活動予定はないのですが、ぜひまた日本を訪れて、皆さんに直接お会いできたら嬉しいです! その時は、日本でパフォーマンスをする機会も作れたらいいなと思っています。
――シンガーソングライターとしての最終目標は何ですか?
私は大きな目標をひとつに決めるというよりも、小さな目標を一つひとつ積み重ねていくタイプなんです。最終的には、音楽を愛する気持ちをずっと大切にしながら、幸せを感じて音楽をつくり続けていけたらいいなと思っています。近い将来の目標としては、トラック制作にも挑戦してみたいですし、ソングライターとしてもストリーテラーとしてもさらに成長したいと思っています!
オリヴィア・マーシュ