新たな年に纏いたい、さりげない色気が漂うHirotakaのジュエリー

  • 文:石川博也
  • 写真:舛田豊明
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忙しい日常から開放され、気持ちが新たになる年始。これからの1年に希望を持ちながら、自分の心が上がるモノを身に纏ってみるのはいかがだろう。

メンズジュエリーといえば、武骨さや目を引く奇抜なデザインのイメージが先行するが、「普段は表に出さず、自分のために着用し、ごくプライベートなシーンでだけ他人から見えるような付き合い方でもいいのでは」と語るのが、ジュエリーブランド、Hirotakaを手掛ける井上寛崇だ。

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井上寛崇●カリフォルニア州立大学卒。30歳目前でジュエリーの世界に入る決心をし、宝飾メーカー勤務を経て2010年、ニューヨークにてHirotakaのコレクションをスタート。話を聞いたこの日も、さりげないデザインのピアスを着用している。

井上はアメリカの大学で政治学を学んだのちに、IT企業に就職。退職後、パリでジュエリーコレクターと出会ったことをきっかけに、ジュエリー業界へ。その後独立し、自らの名前を冠したジュエリーブランド、Hirotakaを立ち上げた。

アートにジェンダーがないように、特に性別を意識せず、“ハレとケ”のケの日をコンセプトにした日常的に着けられるジュエリーづくりが魅力だ。

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構想10年以上! コウモリへの憧れから生まれた「ピピストレッロ」コレクション

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「ピピストレッロ」コレクション。左から「ミックスチェーンネックレス」(55cm)18KYG×オキシダイズドシルバー¥174,900、「バットボーンネックレス」(20cm)10KYG×オキシダイズドシルバーブレスレット¥132,000、「バットボーンネックレス」(55cm) 10KYG×オキシダイズドシルバー」¥143,000。「ダブルチャームチェーンブレスレット」(20cm)18KYG×オキシダイズドシルバー」¥156,200。

Hirotakaの数あるジュエリーの中でも、2024年後半に登場した「ピピストレッロ」は、さりげない遊び心とエレガントな雰囲気が男性に人気のコレクション。

「ピピストレッロ」とは、イタリア語でコウモリを表す言葉で、夜空を軽快に飛び回るコウモリへの憧れをデザインで表現したものだ。

「熱帯雨林に暮らし、大群となって空を舞う大型のフルーツバットからインスピレーションを得て、翼手の第一指にあたる鉤爪(かぎづめ)をモチーフにしました」と井上は語る。

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一見シンプルながら、コウモリの鉤爪をイメージしたアクセントが気品を感じさせる。左:「バットボーンブレスレット」K10×オキシダイズドシルバー¥132,000 右:「ダブルチャームチェーンブレスレット」K18×オキシダイズドシルバー¥156,200。

「ピピストレッロ」コレクションは、井上がブランドを始めた2010年頃、当時の小さなアトリエで数本の工具を駆使してつくったネックレスにルーツを持つ。それから10余年経ち、満を持しての登場となったわけだ。

身に纏うことで、オキシダイズド(硫化)によってマットブラックに仕上げられたシルバーの重厚感と、イエローゴールドの明るい輝きのコントラストが、日々のスタイリングにモード感を加えてくれるだろう。

messageImage_1734420068158.jpg 「ピピストレッロ」コレクションのイメージビジュアル。子どもの頃は動物学者になりたかったという井上は、これまでも動物や自然をモチーフにしたジュエリーをデザインしてきた。

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研磨の美しさが際立つ、神秘的なデザインの「エキノックス」“ピラミッド”シリーズ

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卓越した研磨技術により天然石と土台を一体化させたつくりが特徴。羊の目(ゴートアイ)をイメージしたデザインも。「エキノックス」“ピラミッド”シリーズ¥49,500〜。

もう一種、メンズ向けに定番なのがシルバーコレクションの「エキノックス」“ピラミッド”シリーズだ。世界中の神殿や遺跡に施された、春分の日に“光の道しるべ”が現れる仕掛けからインスピレーションを得たという。

特徴は、微細な砂粒と流水を使い、天然石とシルバーを同時に研磨する特別な技法で製作する、ぴったりとはめ込まれた天然石とシルバーの土台。熟練の職人がひとつひとつ丁寧に磨き上げることでこのデザインを実現している。

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パートナーと共有しやすいデザインであり、重ね付けしてもサマになる。

「石と金属を一緒に削り落とし、表面を平らにすることが技術的に本当に難しくて。3年ほどかけ、やっていただける職人さんに出会えたことで実現したデザイン。黄道と赤道との交点のうち、太陽が南から北へ赤道を横切る“春分点”をイメージした角度をつけています」と井上。

天然石はタイガーアイ、ブラックオニキス、カーネリアン、グリーンアゲート、ホワイトゲート、アマゾナイトの6種類。建築的な力強さと、有機的でひとつひとつ表情の異なる石の組み合わせにより、すべて唯一無二、世界でひとつのリングに仕上がっている。

なだらかな傾斜が頂点で交わることで、その延長線上にある光線を暗示したデザインは、神秘的なロマンにあふれ未知なるパワーを宿しているかのようだ。

身に着けるだけで、これまでとは違う世界が広がるような予感がするHirotakaのジュエリー。2025年の始まりに、自分だけのパワーストーンを見つけてみてはいかがだろう。

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ブランドとして唯一、ハイエンドなジュエリーラインを扱う「Maison Hirotaka 麻布台ヒルズ店」。空間デザインも井上が細部までこだわり「多様性に満ちた、比類なき宝石で構成された熱帯雨林」をイメージした。

Hirotaka

https://store.hiro-taka.com