第58代横綱千代の富士の長男である秋元剛は、父親が生前に愛用していたいくつかの腕時計を、形見として受け継いだ。なかでもよく愛用しているという一本について、語ってもらった。
大横綱の父の形見として受け継ぐ、ミニマルなオールゴールド
「父は力士で身体が大きかったこともあり、洋服はサイズが合うものがあまりなかった。一方で時計をはじめ、骨董品や美術品などを集めることが好きな人でした」
ファッション業界で働く秋元は、自身でもこだわりの時計をコレクションしているが、父の形見の中でいまの自分のスタイルにフィットするいくつかの時計は、普段からよく愛用しているそうだ。
「父が所有していた時計は大ぶりなデザインのものが多かったのですが、その中でもこのカラトラバはフェイスが小さめで、18Kイエローゴールドでもギラギラして見えないところが気に入っています。父の腕は太かったからブレスレット部分が僕には長く、もったいないと思いながらも自分のサイズにカットし直しました(笑)」
ケースやブレスレットはもちろんのこと、ダイヤル、インデックス、針まで、すべての要素がゴールドで統一されているが、無駄のないミニマルなデザインによって、嫌味を感じさせない上品なルックスに仕上がっている。
「若い頃は、父が昔使っていたものと自分のスタイルが合わないことも多かったのですが、いまようやく30代後半になり、こういう時計も自分らしくサラッと身に着けられるようになってきたのかなと思います。テーラードスタイルはもちろん、カジュアルな格好にも重宝しています」
父から子へと受け継がれた時計は、時代やスタイルの変化を軽々と飛び超えていく。
PATEK PHILIPPE / パテック フィリップ「カラトラバ 3520」
『100人が語る、100の腕時計』
Pen 2024年12月号 ¥990(税込)
Amazonでの購入はこちら
セブンネットでの購入はこちら