3つの “大きな塊” が、ヘリコプターに吊るされて宙を舞っている。何かの物資かと思いきや……立派な角を携えた3匹の羊だ。
米テキサス州公園野生生物局が、ビッグホーンシープ、別名オオツノヒツジを移送する様子をSNSで公開した。
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空を飛ぶヒツジ
運ばれているのは、砂漠地帯に生息する「Desert Bighorn Sheep」。オレンジ色の目隠しをされ、布に包まれて大人しくしている。ぷらぷらと上下に連なって空を飛んでいる姿を見ると、当人(当羊?)たちにとっては緊張の瞬間かもしれないが、なんとも愛らしい。
当局は12月5日、個体数の減少を受け、同州エレファント・マウンテン野生動物保護区からフランクリンマウンテンズ州立公園にビッグホーンシープを移送した。FOXニュースによると、その数約80頭。ヘリコプターが1機だけではなかった可能性を考えても、かなりの回数往復したと考えられる。
動画には、スタッフが血液サンプルを採取したり、追跡用の首輪をつけたりする様子も収められている。
トレーラーからビッグホーンシープが放たれる瞬間を、群衆が見守っていた。カメラを向け「おお〜!」と歓声がもれる。局員の男性は、動画で次のように話した。
「たくさんの人々、パートナー、ボランティアのおかげで移送を実行できました」
「(移送されたビッグホーンシープたちが)健康で、発展可能な個体群をここで築いてくれるよう願っています。(中略)ビッグホーンシープをここに定住させるのは、未来の世代に対する私たちの責任です」
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生息数が9割減少
ビッグホーンシープは「ヒツジ」と名前がついているが、ヤギの近縁だ。体長は1.5メートル〜1.8メートル、体重は最大約120キロに達する。オスは大きな角が特徴で、メスや縄張りを巡って猛スピードでぶつかり合う。
米国立公園局によると、北米の砂漠地帯に生息するビッグホーンシープは約1万3000頭。西部開拓時代以前のわずか10%まで減少しているという。ビッグホーンシープには、ヒツジやウシの病気に対する免疫がほとんどない。ヨーロッパから持ち込まれた家畜から感染する病気が、個体数減少の主な要因としている。
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