ソーシャルメディアには目からウロコのアイデア活用法、いわゆる「ライフハック」があふれている。秀逸なものもあれば、よくよく考えれば無用なものなものもあるなど、玉石混交だ。
そんななか、明らかに危険なテクニックが投稿され物議を醸している。インド・デリーのインフルエンサー、シュバンギ・アナンドさんがInstagramで披露した独特のメイクアップ・テクニックだ。
アナンドさんは動画で、長さ10cmほどの青唐辛子を半分に切り、断面を直接唇に塗りつける。その様子は、まるで通常のリップ・スティックを扱うかのようだ。上下の唇に円を描くようにして何度も青唐辛子の断面を塗りつけ、両唇を閉じてこすり合わせ、ムラなく行き渡らせる。
何事もないかのような無表情で塗り続けるアナンドさんだが、ひととおり塗り終わると両目を閉じて胸に手を当て、意識して気持ちを落ち着かせるような仕草を見せる。やはり強い刺激があるのだろう。
たしかにボリューム感は出るが…
画面がカットしてしばし経ったアナンドさんの顔に切り替わると、確かに唇が一回りも二回りも大きくなった印象となり、ボリューム感を帯びている。アナンドさんは輪郭部にシャドウを入れ、立体感を強調して動画を終える。
動画には「ナチュラルなリップ・プランパー」とのテキストが添えられており、唇のツヤと立体感を演出するメイクアイテムの「プランパー」を、自然素材で代用できるとの触れ込みだ。アナンドさんは動画のキャプションで、「(この美容法を)試してみたい?」と視聴者に問いかけている。
動画は2200万回以上視聴され、22万件以上の「いいね」を集めた。だが、粘膜の露出する唇に刺激の強い青唐辛子を塗りつけることは、当然危険だ。唇がボリューミーに見えるというよりは、実際に腫れ上がっているというのが正しいだろう。
視聴者から批判の嵐「ネットで最も愚かな行為」
動画視聴者からは危険な美容法だとして批判が殺到した。コメント欄には「美しさに対する基準が不適切であり、それを達成するための手法としても正気とは思えない」との指摘や、「インターネット上で最も愚かなこと」との非難の声が相次いでいる。
インド放送局のNDTVは、こうした類いの美容法がしばしばネットで拡散していることについて、「美容ブロガーやインフルエンサーが共有する情報の中には、本当に役立つものもあれば、奇妙で潜在的に危険なものもある」と述べ、注意を呼びかけている。
アルバニアのデジタルメディア、テレグラフィは、動画を取り上げた上で、「この動画に視聴者は困惑し、不安を抱いている。多くの視聴者はこの方法を無謀で危険だと指摘している」と報じている。
繰り返される誤った“唐辛子メイク術”
動画に対し、パキスタンのフォト・ニュースは、過剰なまでの美を追求することへの懸念や、コンテンツの話題作りのためにインフルエンサーたちが極端な行為に走ることに対する不信感まで、様々な反応が寄せられていると報じている。
唐辛子を使用した美容法の動画は以前にも物議を醸しており、昨年も別の美容ブロガーによる唐辛子リップ・グロスの動画がソーシャルメディアで論争を引き起こした。
物珍しいテクニックを紹介するショート動画はネットにあふれているが、安全性は自分自身で判断し、自身の健康を守りたい。
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インフルエンサーが唇に青唐辛子を塗りつける問題の動画。
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