ルシア・ベルリンの小説はなぜ特別なのか? 読む者を虜にする最新作品集 【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】『楽園の夕べ ルシア・ベルリン作品集』

  • 文:瀧 晴巳(フリーライター)
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【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『楽園の夕べ ルシア・ベルリン作品集』

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ルシア・ベルリン 著 岸本佐知子 訳 講談社 ¥2,860

ルシア・ベルリンの小説は、彼女の流転の人生からできている。表紙の彼女自身の微笑みのように一編一編が独自の輝きを放っていて、一度出合ってしまったら忘れることなど決してできない。テキサスの祖父母の家で暮らした少女時代。思春期を過ごしたチリの上流階級の暮らし。3度の結婚と離婚。4人の子どもたちをシングルマザーとして育て、アルコール依存症とドラッグに苦しんだ。しかし貧困や孤独も彼女を支配することはできなかった。命のはかない輝きが読む者を虜にする。邦訳3冊目となる最新短編集。

※この記事はPen 2025年1月号より再編集した記事です。