ロイヤル コペンハーゲンのクラフツマンシップを伝える、250周年プレアニバーサリーイベント

  • 文:久保寺潤子
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来年2025年に250周年を迎えるロイヤル コペンハーゲン。1775年、デンマーク・コペンハーゲンに創業して以来、職人の卓越した技を守りながら時代に応じて新たな商品を発表し続けている。大きな節目の年を間近に控え、さる12月3〜4日、東京・アニヴェルセル表参道にて、これまでの代表的な製品の展示と、デンマークより来日したクリエイティブディレクターのヤスパー・ニールセンによるトークセッション、そして熟練ペインターによるデモンストレーションが行われた。

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表参道アニヴェルセルでは、ロイヤル コペンハーゲンの250年におよぶ歴史と、代表製品が展示された。

1775年デンマーク王立磁器製造所として設立された当初、最初に発表されたパターンは現在でもブランドのアイコンとして世界中に知られている「ブルーフルーテッド プレイン」だ。縁に縦溝の彫りが入った白磁に、繊細な曲線と可憐な花をあしらったデザイン、そして深みと明るさを感じさせるブルーの色彩。世代を超えて愛されるブルーフルーテッド プレインの魅力について、クリエイティブ ディレクターのヤスパー・ニールセンはこう話す。

「皆さんおなじみのブルーフルーテッド プレインですが、よく見るとひとつ一つに色の出方が違っているのに気づくでしょう。手仕事による温かみと同時に、匠の技を感じられるのが大きな魅力のひとつだと思います。あまり主張しすぎないデザインも長く愛される所以でしょう。クラシックなテーブルセッティングはもちろん、自分らしい遊び心のあるコーディネートができる普遍的なデザインだと思います」

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講演を行ったクリエイティブ ディレクターのヤスパー・ニールセン(中央)。世界的なラグジュアリーファッションブランドでの経験を活かし、ロイヤル コペンハーゲンの新しい未来を描く。聞き手はクリエイティブコーディネーターの吉田 愛(左)。

2世紀半にわたって受け継がれている鮮やかなブルーは、ブランドを象徴するカラーであるとニールセンは言う。

「この色はデンマーク人にとって自然を感じさせる色です。ブランドのロゴも3つの波がブルーで描かれていますが、三方を海峡に挟まれたデンマークの海と空を想起させる色でもあります。世代を超えて受け継がれるロイヤル コペンハーゲンの食器は、多くの人にとって愛着やノスタルジーを感じさせてくれるのです」

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会場では約50年のキャリアを持つペインターが来日し、その技術を披露。なめらかな筆づかいは熟練の賜物だ。

時代を象徴しながらタイムレスに受け継がれてきたロイヤル コペンハーゲンのアーカイブはじつに5万点にものぼる。そして来春、250周年の節目の年に、新たな柄のコレクションの発売が控えているという。

「アーカイブを見ると、250年前に王室のためにつくられた磁器が、次第に世間に広がっていった歴史を辿ることができます。私たちはこの歴史を尊重しながら新しい作品のモチーフを考えます。先を見るためには後ろを振り返ることが大切ですからね。今回新しくローンチ予定のデザインは、遊び心のあるグラフィカルな絵柄に挑戦しました。もともとあったブルーフルーテッド プレインの一部を生かして大胆に発展させたのです」

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テーブルセッティングの周りには、作品の制作過程がパネルや画像とともに紹介された。

ロイヤル コペンハーゲンは長い歴史の中で、ブルーだけでなくコーラルやパープル、ブラックなどさまざまなコレクションを発表してきたが、新作はモダンなライフスタイルにも溶け込む画期的なデザインといえる。「新作の開発にあたっては、どんな環境でなんのためにつくるのか、といったストーリーを大切にしています。歴史に学びながら新しい顧客にもアプローチできるような、ワクワクする試みを発信し続けていきます」と語った。

歴史をリスペクトしながら常にアップデートを続けるロイヤル コペンハーゲンの今後に注目したい。

ロイヤル コペンハーゲン

www.royalcopenhagen.jp