京都・福田美術館の開館5周年記念展示からトゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル展まで【今月の展覧会2選】

  • 文:青野尚子(アートライター)
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色鮮やかな伊藤若冲の絵巻が、世界で初めて公開に

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伊藤若冲『果蔬図巻』(部分)1790年以前 福田美術館蔵

ヨーロッパ在住の個人が所有していたため、ほぼ人目に触れることのなかった伊藤若冲の『果蔬図巻(かそずかん)』が世界初公開された。色鮮やかな果物や野菜がまるで行進するように並ぶ愛らしい絵巻だ。また、京都・大阪間の舟からの景色を版画で表現した『乗興舟(じょうきょうしゅう)』、5年前に発見された最初期の『蕪に双鶏図(そうけいず)』など、およそ30点もの若冲作品が一堂に会する。さらに若冲と同時期の絵師、曽我蕭白や円山応挙の作品も。若冲の絵は奥が深い、と改めて実感させてくれる展覧会だ。

『開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!』

開催期間:~25/1/19
会場:福田美術館
TEL:075-863-0606 
開館時間:10時~17時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:12/3、30~1/1
料金:一般¥1,500 
https://fukuda-art-museum.jp

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時代を超え、「不在」を巡る、ふたりのアーティストの出会い

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ソフィ・カル氏ポートレート photo: Yves Géant

設備メンテナンスのため休館していた三菱一号館美術館の再開館記念展。同館所蔵のロートレック作品にフランスの現代美術作家ソフィ・カルの作品が並ぶ異色の展示。モデルとなる女性と親密な関係にあるはずの男性が描かれないロートレックの絵画、近年死去した両親や猫にまつわるものや盗まれた絵画をモチーフにしたソフィ・カルの作品など、「不在」をめぐる作品が並ぶ。あるはずのもの、存在していたものがない、そのことから生まれる漠とした感情が広がる。

『再開館記念『不在』 ―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル』

開催期間:~25/1/26
会場:三菱一号館美術館
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時~18時(金曜と会期最終週平日、第2水曜は20時まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、12/31、1/1(11/25、12/30、1/13、20は開館)
料金:一般¥2,300
https://mimt.jp

※この記事はPen 2025年1月号より再編集した記事です。