「他に類を見ない音楽でいっぺんに魅せられた」。いとうせいこうを圧倒した細野晴臣の伝説的名盤とは?

  • 文:加藤一陽
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いとうせいこう●1961年生まれ、東京都出身。1988年に小説「ノーライフキング」でデビュー。1999年、「ボタニカル・ライフ」で第15回講談社エッセイ賞受賞、「想像ラジオ」で第35回野間文芸新人賞受賞。近著に『ラジオご歓談!爆笑傑作選』『東北モノローグ』などがある。音楽活動においては、日本にヒップホップカルチャーを広く知らしめた日本語ラップの先駆者のひとりでもある。Xアカウント:https://twitter.com/seikoito

J-WAVE「STEP ONE」の特別企画「Pen TALK ABOUT HARUOMI HOSONO」。Pen1月号の特集「細野晴臣と仲間たち」と連動し、さまざまなミュージシャン・クリエイターが細野晴臣の楽曲やクリエイションの姿勢について語る企画だ。ゲストとして登場したのは、対談などを通じて細野と親交を深めてきたいとうせいこう。学生時代に購入した、細野のあるアルバムに深い衝撃を受けたという。



「大学に入る前に、近くのレコード屋で『はらいそ』を買ったんです。横尾忠則さん的な、神様だ、仏様だ、宇宙だ、みたいなものが散らばっているジャケットで、音楽はすべてが極楽のような世界。“はらいそ”って“パラダイス“って意味で、 まさにそういうものでした。テクノのようなものと民族音楽みたいなものが混ざっているような、ほかに類を見ない音楽で、いっぺんに魅せられてしまいました」


「これは1978年の作品で、細野晴臣&イエロー・マジック・バンド名義です。で、このあと同じ年にイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)が1枚目を出すんですよ。つまり、ほぼ同時につくっている。ぼくはイエロー・マジック・バンドのほうが、なんだか自分の性格や耳に合うような感じがしていたものです。それと、アルバムの最後に細野さんが 『この次はモアベターよ』って言うんですね。これは映画評論の小森和子さんの決め台詞です。細野さんが冗談で言っただけなのかどうかはわかりませんが、“この次”がYMOの1枚目だったというのも、歴史的なことなんじゃないかと思います」


「細野さんとしゃべっていると、本当にたくさんの良い知識を与えていただける。ぼくは細野晴臣っていう人に導かれて、自分のいろいろな感覚を研ぎ澄ますことができていると思っています。感謝していますね」

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ラジオ局J-WAVE(81.3FM)で毎週月〜木曜、朝9〜13時にOAする情報エンタメプログラム「STEP ONE」。ナビゲーターのサッシャとノイハウス萌菜が、働く人に役立つ情報と仕事が捗るGOOD MUSICを届ける。

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Pen 2024年1月号「細野晴臣と仲間たち」

1969年のデビューを皮切りに、はっぴいえんど、YMOなどを経て、音楽の地平を切り拓いてきた細野晴臣。2024年に活動55周年を迎えたことを記念し、多岐にわたる活動の中でも、ミュージシャンやクリエイターとの共作、共演、プロデュースといったコラボレーションに着目した特集を展開。

松本隆やヴァン・ダイク・パークスなど、長年にわたって強い絆で結ばれる盟友から、くくく(原田郁子+角銅真実)やマック・デマルコといった、細野の背中を追い、そしてともに音楽づくりに関わるようになった新たな世代まで、多彩なミュージシャンとのつながりをたどっていく。さらに、是枝裕和、大竹伸朗、ゆりやんレトリィバア、三澤遥など、指折りのクリエイターたちとの協業の姿も細野音楽の多様性を物語る。最新の音楽活動を細野自身が語る独占インタビューや、菅田将暉とのスペシャル対談、細野音楽を読み解くキーワード解説なども収録。本人、そして影響を与え合った人々によって紡がれる言葉から、音楽の巨人の足跡をたどり、常に時代を刺激するクリエイションの核心に迫る。

『STEP ONE』 特別企画「Pen TALK ABOUT HARUOMI HOSONO」

放送日時:2024年12月2日(月)~12月12日(木)の月~木曜 10時50分~11時20分頃
内容:Pen 1月号「細野晴臣と仲間たち」とコラボレーション。
毎回、スペシャルゲストが登場し、細野晴臣さんのお気に入りの1曲を紹介しながらその想いを語ります。

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