1.CARTIER(カルティエ)
タンク ルイ カルティエ
レッドラッカー仕上げのエフェクトダイヤルに、ゴールドフィニッシュしたスチール製剣型針が美しく映える。アールデコスタイルの先駆者となったイエローゴールド製の角形ケースにバーガンディストラップをセットし、3代目当主ルイ・カルティエが自ら愛用した時計でもある「タンク」コレクションの原点を、優美なカラーリングで彩った。
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2.OMEGA(オメガ)
デ・ヴィル トレゾア
バーガンディのドーム型ダイヤルにオメガ独自の18Kセドナゴールド製の針とインデックスを備え、6時位置にはクラシカルなスモールセコンドを配した。エレガントな薄型ケースが特徴の「トレゾア」に、直列配置のツインバレルやコーアクシャル脱進機を搭載した手巻き式の高性能キャリバー「8927」を内蔵。最高水準の精度と耐磁性を誇るマスター クロノメーター認定も取得した
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3.JAEGER-LECOULTRE(ジャガー・ルクルト)
レベルソ・トリビュート・スモールセコンド
サンレイ仕上げを施したディープバーガンディのダイヤルは、異なる乾燥時間を考慮したラッカーの重ね塗りプロセスを経たもので、光の反射で多彩に変化する色合いが美しい。同じくバーガンディカラーのストラップはインターチェンジャブル仕様で、簡単に交換できる。ケース裏面はパーソナライズ可能。
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バーガンディカラーのダイヤルは、ブルー、グリーンに続く、腕時計の注目色だ。そもそも「バーガンディ」は「ブルゴーニュ」の英語名であり、赤ワインを語源とする色名ではあるが、日本人の心象としてはいうまでもなく紅葉のイメージに重なる。晩秋の11月第3木曜日に解禁されるボージョレ・ヌーヴォーも、色みは明るいものの本来ブルゴーニュ南部ボージョレ地区の産。秋はバーガンディ(ワインレッド)の多様な魅力を感じられる季節なのである。
最近ではその用途が広がり、スポーティなクロノグラフやダイバーズにまで採用されているが、バーガンディの優美で温かみのある文字盤は、ゴールドのクラシカルなケースと合わせた時に、その魅力を最大限に発揮する。秒針のない2針の仕様を採る生粋のドレスウォッチや、アールデコに由来する角形のレクタンギュラーケース、スモールセコンド付きの3針など、クラシカルなレイアウトにぴたりとハマるのである。エレガントな品のよさや大人の風格を醸し出すとともに、ゴールドであっても〝これみよがし〟なギラついた印象には決してならない。
ラッカー塗装やサンレイ仕上げによる、赤の深みや色相の違いも選ぶ際の醍醐味だ。同じバーガンディの名であっても、千差万別。さらに、ゴールドの色みも熟考したい。イエローならば華やかさが増し、レッドやピンクではよりシックな印象になる。深まる秋に日ごと変わる紅葉の風景と同様、ゴールドの錦秋ダイヤルは魅力の多様性を描くのである。
並木浩一
1961年、神奈川県生まれ。時計ジャーナリスト。雑誌編集長など歴任し、2012年より桐蔭横浜大学の教授に。近著に『ロレックスが買えない。』。※この記事はPen 2025年1月号より再編集した記事です。