ボーダレスな風景が際立たせる、有機的なフォルムの美しさ【Penが選んだ今月のデザイン】「シフォン ツイスト 3」

  • 文:猪飼尚司(デザインジャーナリスト)
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ほどよく身体にフィットし、着るたびに異なる個性と表情を見せてくれるシフォン ツイスト。右から順に、NEW WINTER BROWN、MAPLE ORANGE 、KUDZU KHAKI、DAY PINK、WINTER GREEN、NIGHT GREENというバリエーション豊かな6つの新色が揃った。ハイネック半袖トップ¥30,800、ハイネック長袖トップ ¥33,000~¥36,300 © ISSEY MIYAKE INC.

プリーツをかけた上にツイスト加工を施すことによって、表情豊かなアシンメトリーの凹凸を纏わせたイッセイミヤケの「シフォン ツイスト」。この人気トップシリーズのホリデーコレクションとして、鮮やかな色彩が目を惹く「シフォン ツイスト3」が今冬新しく登場した。

この発表に合わせて、ビジュアルとパッケージ、店舗ディスプレイを柳原照弘が率いるTeruhiro Yanagihara Studio(以下、TYS)が担当し、話題を呼んでいる。

シフォン ツイストが醸し出すひだとねじれは、実に複雑で有機的なかたちをしており、ひとつとして同じものが存在しない。シフォン ツイストがふとした瞬間に見せる美しい佇まいを、いかにビジュアルコンセプトへと展開していくか。TYSが、インスピレーションのもとにしたのは、ヨーロッパの海沿いの街で見た、ある家の庭だった。

激しい浜風が吹き寄せる断崖に建つ家の庭には、美しく咲き誇る草花と交じり合うように、海辺で拾ったのであろう流木や漂流物が置かれている。敷地を仕切る壁やフェンスはなく、家を取り囲む庭の景色が自然と一体になって溶け合いながら、地平線までずっと伸びていく。

こうしたシームレスな風景の中に宿る、自由な精神と高い創造性こそ、シフォン ツイストの儚くも力強い美しさに通ずる。そう感じた制作チームは、イギリスの荒野でビジュアルを撮影した。風になびく姿や、使い古された船や流木、波に削られた石とシフォン ツイストを並べることで、その独創的な表情を際立たせている。

また、スペシャルパッケージには、すりガラスのように見える半透明の素材を使用した。内容物がぼんやりと浮き出る仕様になっており、見るものの想像力をさらにかき立てる。

 

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© ISSEY MIYAKE INC.

「シフォン ツイスト 3」

イッセイ ミヤケ
TEL:03-5454-1705

※この記事はPen 2025年1月号より再編集した記事です。