スキンケアの基本である洗顔。意外と知らない正しい洗顔の方法について、男性美容研究家の藤村岳さんに訊いた。
藤村 洗顔は健やかな肌をつくる上で重要ですが、間違ったやり方をすると、むしろトラブルを引き起こすことも多いんです。
――肌荒れの原因が洗顔に?
藤村 脂や汚れをとにかく落とせばいいと、顔をゴシゴシ擦る人がいますが、皮膚の摩擦が乾燥を招いてしまいます。乾燥すると肌が荒れ、バリア機能が低下し、菌や紫外線が入り込みやすくなった結果、ニキビや赤み、シミなどの原因になります。
――男性の肌のトラブルは、分泌量が多いとされる皮脂がおもな原因だと思っていました。
藤村 皮脂が詰まった毛穴に菌が繁殖することでニキビになるので、原因のひとつではあります。もうひとつ大事なのが、肌質を知り、適した洗顔料を使うこと。
――自分が、いわゆる「乾燥肌」や「オイリー肌」のどれに当てはるということですね。
藤村 はい。オイリー肌は「脂性肌」とも言います。顔の部分によって乾燥とオイリーの症状を持つ「混合肌」と、刺激に弱い「敏感肌」があります。実はこれらは医学的、皮膚科学的にきちんとした定義が存在するわけではなく、肌質を見極めるために便宜上、大別する言葉です。
――判別する方法はありますか?
藤村 ひとつの目安になりますが、洗顔した後15分くらいそのままにして、肌の状態を見てみます。15分、早くて10分ほどでカサカサする人は乾燥肌。ジワーッと脂が出てくるようなら脂性肌。部分によって脂が浮いていたりカピカピしていたりしたら混合肌です。混合肌で多いのが、皮脂分泌が多いゾーン(おでこから鼻先までの部分)が脂っぽく、ゾーン(あごや頬、口周りの部分)が乾いている状態。そして、使っている洗顔料によて、成分に反応してすぐ赤くなったり痛みを伴ったりしてしまう場合は敏感肌という判断でもいいでしょう。今回はこの4種類の肌タイプに対応したアイテムを紹介しているので、自分に合いそうなものを試してみてください。
――肌質と合う洗顔料が必要とわかったところで、その効果を最大限に活かすための正しい洗顔方法を教えてください。
藤村 髪の毛と同じでまずは予洗いをしましょう。体温より1〜2℃高いぬるま湯で表面に付いた大きなホコリなどを落とし、固着した皮脂を暖めます。冷水や熱いお湯は過度な刺激になるのでNGです。30〜60秒ほど洗えば十分。それから洗顔料を適量使い、しっかり泡立てます。コツは指先をすぼめて茶筅のようにして空気を含ませながら、ぬるま湯を少しずつ足していきます。ピンポン玉くらいの大きさで、手を逆さにしても落ちないくらいの濃度があれば完成です。
――乾燥を引き起こす“ゴシゴシ洗い”は御法度ですね。
藤村 はい。指の腹を使って円を描くように洗います。力加減は熟れた桃を触るくらい優しく、Tゾーンから始めてUゾーンへ。汚れが溜まりやすい小鼻の脇や人中などの凹み、おでこの生え際、もみあげ、ひげを意識して洗います。そして、最も重要なのがすすぎ。すすぎが足りず泡が残っていると、結局肌に汚れが戻ってしまいます。溜め水ではなく、シャワーなど流水を使いましょう。洗う時間を1としたら、すすぎは3倍行うくらいがちょうどいいですね。
――洗顔する頻度は?
藤村 基本1日2回。それ以上は多いですし、必要ないと思います。朝起きてから1回、帰宅したら入浴中に1回でOKです。正しい洗い方と自分に合った洗顔料で、日々のルーティンに組み込んでみてください。
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アルソア/アルソア クイーンシルバー
洗浄力 ★★★
低刺激 ★☆☆
香り ★★★
天然由来のミネラル(堆積岩・火成岩)が新陳代謝や水分保持力といった肌の働きを助ける、乾燥肌向けの洗顔石鹸。皮脂などの汚れを吸着する炭と、保湿成分としてハチミツも配合。素手で弾力のあるキメ細やかな泡をつくれ、肌への負担を減らす。
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プロアクティブ プラス/マイルドミルク クレンザー
洗浄力 ★★☆
低刺激 ★★☆
香り ★★☆
有効成分サリチル酸が、ニキビの原因となる皮脂や古い角質を落とす。洗顔時の摩擦を減らした処方設計により、マイルドな使用感を実現した。肌をゴシゴシしがちな脂性肌の人に合う、泡立てずに使用するミルクタイプ。医薬部外品。
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オサジ/チューニングウォッシング フォーム
洗浄力 ★★☆
低刺激 ★★☆
香り ★★★
アミノ酸系洗浄成分と2種の保湿成分を採用し、余分な皮脂と汚れを落としながら肌に必要な成分をキープ。乳酸とミネラルを掛け合わせた3種の成分が角層を修復し、健やかな状態に。つっぱり感のないしっとりとした洗い上がりで、混合肌にも適している。
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アベンヌ/スキンバランスフォームSS n
洗浄力 ★☆☆
低刺激 ★★★
香り ★☆☆
フランスのアベンヌ温泉水と、石鹸成分を含まない植物由来の洗浄成分が、汚れだけを落とし潤いバリアを保持。キメ細かい泡で手軽に洗顔ができる。赤ちゃんも使える敏感肌向け。
藤村 岳|男性美容研究家。
シェービングを中心に据えた独自の男性美容理論を打ち立て、男性美容のパイオニアとして活動中。数々のメディアへの出演のほか、講演やイベント、男性用コスメの開発、プロデュースを行う。
※この記事はPen 2025年1月号より再編集した記事です。