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日本最高峰のカクテルコンペで優勝したバーテンダーが届ける、バーの愉しみとは

  • 文:西田嘉孝
  • 写真:河内彩
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「サントリー ザ・カクテルアワード 2024」で優勝を勝ち獲った「SAVOY hommage(サヴォイ・オマージュ)」のオーナー、森﨑和哉さん。

今年で30回目を迎える「サントリー ザ・カクテルアワード 2024」。これまでに数々の名バーテンダーを輩出してきた日本最大級のカクテルコンペティションだ。本年の優勝を獲得したのが、神戸・花隈でバー「SAVOY hommage(サヴォイ・オマージュ)」を営む森﨑和哉さん。森﨑さんが語る、優勝カクテルに秘められた思いやバー文化の魅力とは?

「日本が誇る洋酒文化を世界に繋げたい」優勝カクテルに込められた思い

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優勝カクテル「てふてふ」は、日本をはじめとする世界5大ウイスキーをブレンドした「碧Ao」をベースに、大葉のさわやかな香りが心地よい一杯だ。

優勝カクテルの名は、日本や世界で愛される「蝶々」を、日本伝統の仮名遣いで読んだ「てふてふ」。日本をはじめとする5大ウイスキーをブレンドした「碧Ao」の重なり合う味わいが、日本が誇る花や果実である桜や巨峰のリキュール、ゆず、フレッシュな大葉とそれぞれにつながり、口の中で繊細かつ複層的に広がっていく。ベースのウイスキーをしっかりと感じさせながら、飲むたびに違った表情に出合う喜びを味わうことができるカクテルだ。

本年度の「サントリー ザ・カクテルアワード」の募集テーマは「次世代の“飲み人”に届けたいカクテル」。「碧 Ao」の新しい魅力を引き出す挑戦と、蝶々の姿に『継承と革新』への思いを重ねました。日本が誇る洋酒文化を世界に繋ぐ、日本情緒溢れるこの一杯を次世代の飲み人に届けたい。そんな思いを込めて創作しました」

森﨑さんは、体育大学を卒業後にバーテンダーとなる道を選び、神戸の名店「SAVOY」でキャリアをスタート。現在までに数々のカクテルコンペティションで入賞を重ね、2022年には世界大会でも1位に輝いている。「キャリアのある自分が大会に出ることで、若手の芽を摘むことにはならないだろうか」。今大会の出場に際して「そんな葛藤もあった」と語る森﨑さんが、大会への参加を決めたのは、偉大なる師匠への思いがあったからだ。

代々継承されてきた、日本独自のカクテルの流儀

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終始笑顔で場を盛り上げながらも、常に真剣勝負でお客様に寄り添う姿が印象的だった。

森﨑さんの師匠である故・小林省三さんは、1970年の大阪万博の際に開かれたカクテル世界大会で優勝した業界のレジェンド。日本のカクテル文化を牽引した名バーテンダーの人柄を偲び、「楽しくてお茶目な人だった」と森﨑さんは話す。

「私が若手時代に応募していたカクテルコンペティションに、師匠がこっそり応募していたこともありました。我々が驚いていると『どうして僕が出ちゃいけないの』って(笑)。師匠は70代でもシェイカーを振り、お客様の表情を見逃さずカクテルの味を調整するなど、常に真剣勝負でお客様に寄り添う人でした。カクテルコンペティションでも店のカウンターでも、何歳になっても挑戦し続ける姿勢は師匠が示してくれたもの。師匠が生きていたら絶対に背中を押してくれるだろうし、若いバーテンダーたちと真剣勝負で戦える最後の機会になるという思いもあって、強い覚悟で出場することを決めたんです」

カクテルコンペティションに出場する際、森﨑さんは大会ごとに1冊のノートを用意し、カクテルの創作につながる発想のヒントや、分量などを細かに調整して日々ブラッシュアップさせていくレシピ、そして実技の課題などを書き留めていく。大会の数カ月前からは、早朝のランニングや体幹を鍛えるトレーニングを行い、午前中の2時間を練習に充てる。

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蝶々のデコレでカクテルの仕上げを行う森﨑さん。バーテンダーとしての技術を磨くかたわらで、より美しい飾りをつくるためにカービングや和洋食の包丁の使い方を学ぶなどして研鑽を重ねた。

店のカウンターでもコンペティションの舞台でも、カクテルメイキングの根幹にあるのは「目の前の人を喜ばせたい」という思いだ。

「日本のバーテンダーの凜とした佇まいや洗練された無駄のない美しい所作は、世界大会などでも注目されます。そうしたジャパニーズバーテンディングは、先輩たちが目の前のゲストをいかに喜ばせるかということを、常に考えながら築き上げたもの。師匠や先輩たちから受け継いできた型や精神を大切にしながら、それを発展させていくのが私たちの役目だと考えています」

バーテンダーが真摯につくった一杯にゲストが真摯に向き合う、一杯入魂という日本のバーによく見られる構図。これは、大勢のゲストを相手にすることが多い海外のバーテンダーにとって「ひとつの憧れになっている」と森﨑さんは言う。

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BGMは“ジャズとギャグ”? 神戸らしい魅力が溢れる、雰囲気づくり

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森﨑さんがオーナーを務める店、『SAVOY hommage(サヴォイ・オマージュ)』は創業当時のまま。天井には京都の西陣織の美しい紋様が広がる。

大勢でワイワイと楽しめる店が多い海外のバーに比べ、日本のバーはよく「敷居が高い」と言われる。大学生の頃、初めてバーの扉を開いた時の緊張感や胸の高まりを、森﨑さんはいまも覚えている。

「私はなにもわからず日本酒をオーダーしたのですが、私をバーに連れて行ってくれた方が隣でジントニックを飲んでいるのを見て、こんなにカッコいい世界があったんだと。そこからカクテルブックを買って自己流でカクテルをつくり、友人を自宅に呼んでバーの真似事を始めたんです」。そんな憧れからバーテンダーを志した森﨑さん自身も、「これまでに何度も勇気を出してバーの扉を開いてきた」と話す。

「ドキドキしながらでも扉を開ければ、非日常な出会いや唯一無二の特別感が味わえるのがバーの魅力。せっかく勇気を出して扉を開いてもらったお客様には、肩肘張らずにリラックスして愉しみ、心から来てよかったと思ってもらいたい。だから私のお店では、『お客様に一度は必ず笑顔になってもらうこと』をスタッフとの約束事にしています。おいしいカクテルを飲んで笑顔になってもらうことはもちろん、お客様同士で話が盛り上がったり、私のギャグで笑ってもらったり。カクテルのおいしさやバーという空間自体の愉しさが、お客様にとっての明日への活力になるような。そんなバーでありたいと思っています」

名店の系譜を継ぐにふさわしいオーセンティックな佇まいの店は、森﨑さんと同じ年に生まれた会員制サロンを改装したもの。時には数多く揃うアナログ盤にも針が落とされる。BGMは“ジャズとギャグ”。「とにかく扉を開いて来てもらったら、あとは大丈夫。我々に任せてください」と話す森﨑さんとスタッフが、初見の客でも懐深く包み込んでくれる。

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バー初心者にもお薦めのカクテルとして森﨑さんがつくってくれた「ジンフィズ」。ベースに「サントリージャパニーズクラフトジンROKU〈六〉」を使い、レモンジュースの代わりに柚子果汁をチョイス。「ROKU〈六〉」に特徴的な柚子のニュアンスがふわりと香る、「若い人にもスタンダードなカクテルを知ってほしい」という森﨑さんの思いが詰まったカクテルだ。

来店する客の約9割はカクテルが目当て。世界大会で一位を獲得した、「サントリージャパニーズクラフトジン ROKU<六>」をベースにした「ビューティフルジャーニー」に加え、今回の優勝カクテルである「てふてふ」もシグネチャーに加わるが、名手がアドリブで生み出す一杯も魅力。

「オーダーに迷ったら、好きな色でも前に飲んでおいしかったカクテルでも、今日あった出来事や気分でも、なんでも言ってもらったらそれに合わせたカクテルをおつくりします。以前、お客様が指定する四字熟語でカクテルをつくってくださいというオーダーがあって、四面楚歌というカクテルをお作りしたこともあるんですよ」

そう微笑む森﨑さんを中心に、客たちの会話が弾み、そこかしこで笑顔が弾ける。それが「SAVOY hommage」の日常だ。

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30回目を迎え、進化するサントリー ザ・カクテルアワード

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ファイナリスト8名のカクテル。森﨑さんのカクテルをはじめ、日本独自の文化を次世代に継承させたいという思いを感じさせるコンセプチュアルなカクテルが並んだ。

全国から集った8名のファイナリストが鎬を削った「サントリー ザ・カクテルアワード2024」。創作カクテルの実技を競うファーストステージに加え、3名が選出されたセカンドステージでは、初の試みとなる「Yatte Minahare審査」も導入された。

これは、それぞれの出場者が順番でクジを引き、客の年代やシチュエーション、好みの味わいといったお題に応じて、制限時間内で自由にカクテルのプレゼンテーションを行うというもの。同カクテルアワードには「ネーミング&見栄え」「創作意図」「味」「独創性」「技術」「ホスピタリティ」「フレキシビリティ」といった7項目の審査基準があるが、それらを高いレベルで備えたバーテンダーとしての総合力が試される審査だ。

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緊張感で張り詰めた決勝を得意のトークで和ませていた森﨑さん。

セカンドステージも見応えのある戦いが繰り広げられたが、やはり際立ったのは森﨑さんのアドリブ力とホスピタリティ、そして圧巻のパフォーマンスだ。

お題となるクジを引いてからカクテルを創作するまでの制限時間は等しく10分間。森﨑さんは「50代」「観光」「さわやか」というお題に対し、「ROKU〈六〉」をベースに、マスカットのリキュールとライム果汁、ビターズなどを合わせたカクテルを創作。

「海外から神戸に観光で来られた50代のお客様を想定し、神戸の爽やかな風を感じていただけるカクテルを創作しました。「ROKU〈六〉」で和のボタニカルを感じてもらいながら、人生の苦味もご存じだと思いますのでビターズで少し苦味を足して。最後に柚子ピールを搾ってさわやかさを演出しています」

ネーミングは「Japanese Breeze(日本のそよ風)」。語らずともその所作でカクテルの内容までを表現する、ジャパニーズバーテンディングの真髄が垣間見えたパフォーマンスだった。

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ファイナリストの8名。北は北海道、南は香川県まで日本各地の精鋭たちが競い合った。

表彰式では時折言葉を詰まらせながら、「家族や神戸で待っていてくださるお客様に早く報告がしたい」と受賞の喜びを語ると同時に、「たくさんの方々のお力添えがあって、私たちバーテンダーは前に進んでいくことができます。今後も覚悟を持って仲間のバーテンダーとともに、業界の発展のために頑張っていきたい」と、力強く抱負を語った森﨑さんの姿が印象的だった。

30回にわたり日本独自のバー・洋酒文化の発展に貢献し、数多くの名バーテンダーを輩出してきた「サントリー ザ・カクテルアワード」。「SAVOY hommage(サヴォイ・オマージュ)」をはじめ、実際に店に足を運んで、日本屈指のバーテンダーの技をぜひ自身の五感で体感してほしい。

サントリー ザ・カクテルアワード 2024の詳細を見る

サントリー ザ・カクテルアワード の公式Instagramはこちら

SAVOY hommage(サヴォイ・オマージュ)

兵庫県神戸市中央区下山手通5-8-14 1F
078-341-1208
営業時間:16:00〜23:00
定休:日・月

 

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