インド寺院の「宙に浮く石柱」に目を疑う…奇跡の証か、はたまた偶然の産物か

  • 文:青葉やまと
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レパクシ寺院。Pro naksha-Shutterstock ※画像はイメージです

インド南部アーンドラプラデーシュ州アーナントプル県に、不思議な柱で知られる古刹がある。ヴィーラバドラ寺院、またの名をレパクシ寺院と呼ばれるこの寺院は、16世紀に建立された古代インド建築の傑作として名高い。

岩を彫り込んで造られた石造建築には、かつて栄えたヴィジャヤナガル帝国の卓越した技術が息づいている。シヴァ神の乗り物である牛の一枚岩彫刻をはじめ、数え切れないほどの装飾が施された寺院だ。

だが、精巧な装飾さえ霞むほどの圧巻の謎をこの寺院は秘めている。訪れる観光客を驚かせているのが、寺院内に立ち並ぶ70本の柱のうち、1本だけ存在する「浮遊する柱」だ。

くぐらせた布がするりと抜ける

問題の柱は彫刻の施された石柱であり、石造りの広間の中央付近に位置する。広間に並ぶ他の柱と同じく、相当に重厚な印象をまとっている。周囲の柱とまったく変わらないように見えるが、この1本の柱だけが不思議なことに、地面からわずかに浮いている。

YouTubeで公開されている動画では、男性2人が布の両端を持ち、柱と地面の接する部分をくぐらせる。布はするりと向こう側まで抜ける。

このことから、どっしりと構えているように見えていた柱の下に、実際には目視しにくいほどのわずかな空間が存在することがわかる。まるで不思議な力で浮遊しているかのようだ。

タイムズ・オブ・インディア紙は、「世界中から人々を惹きつけてやまない建築上の驚異」「この国でも最もミステリアスな場所のひとつ」だと取り上げている。

なぜ浮いて見える?

実際にはこの柱は、完全に浮遊しているわけではなく、柱の4隅のうち1つがかすかに地面に接していることがわかっている。先の動画では布が完全に通過したように見えたが、問題の接地部分を通過する際、片方の男性が布から手を離しているように思われる。

それでもなお、まるで宙に浮いているかのような錯覚を生み出しており、寺院の完成から700年以上の歳月を経た今も、訪れる人々を魅了してやまない。

16世紀にヴィジャヤナガル朝の統治下で建設された同寺院は、主神ヴィラバドラに捧げられた。寺院は精巧な彫刻と色鮮やかなフレスコ画で知られ、高さ70フィートの一枚岩で作られたナンディ(牛)の巨大な像を有している。

風変わりな趣向のねらいは

この不思議な柱は、一体どのような目的で作られたのか。その謎をめぐっては様々な説が語り継がれている。古くからの言い伝えでは、当時の建築家たちが意図的に仕掛けた技だとされる。また、英国統治時代に英国人技術者が手を加えたという説も残る。

しかし、科学ニュースサイトのIFLサイエンスによると、より現実的な見方もあるようだ。長い年月のあいだに地震の振動で徐々に動いて接地面が不安定になったか、あるいは建設当時の測量誤差によって柱の下面全面で接地することができなかったため、偶然にこのような状態になったのではないか——という説だ。

同記事によると、このような建築にまつわる不思議な話は世界各地に存在する。たとえばイギリスのウィンザー・ギルドホールには、天井まで届かない柱があり、こちらも様々な逸話を生んできた。

ギルドホールに関しては、天井の崩落を懸念したクライアントが室内に柱を追加するよう依頼したが、建築士はせめてもの抵抗として柱との間に隙間を残した、との説が語り継がれている。

 

インド寺院の浮遊する柱の真相は今も謎に包まれたままだが、それがかえって魅力を深めているのかもしれない。卓越した建築技術の結晶であるヴィーラバドラ寺院において、今日も不思議な見どころとして人々を魅了している。

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【動画】柱が宙に浮いてる!驚愕の動画。布はするりと向こう側まで抜ける。

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